「やっぱり不二くんには適わへんか…」
「まっしゃーないわな」
相手はなんたって天才、や
俺は所詮基本通りなテニス
そうやって諦めとったのに
勝ちたかったて後悔する
諦めの悪い俺も存在するんや
「お疲れ様、部長!」
俺のぴんぴん立ってる髪を
優しく撫でてくれる
「お前のために闘った、なんて
重いんやろか」
ふるふる
違うよ、すごく嬉しいよ
少し照れながら否定する
俺の可愛い彼女
「負けたんやけどな、
怒らんといて?」
なんて言うたら
「白石のばか」
ぎゅって強く強く
噛みつくかの如く
「負けたっていいじゃない」
「でも悔しいんやで」
「また絶対テニスできるよ」
なんで、分かるんや
て聞いたけど
こいつは
にっこり微笑むだけ
俺は近い未来
中学生選抜があるなんて
夢にも思わんかった