冬組



桜がみたいと思った

しろいしろい
雪を見たとたん


「なあ翼、あいつらを驚かせてやらねえか」



***



夜、生徒会長命令で
生徒会メンバーを召集した

もちろん翼とはグルで


「なまえ、雪降ってるぞ」

「綺麗ですね、すごくすごく」



あまりにも綺麗な雪
ただ静かにシンシンと



少しだけ桜にするのが
もったいないと思った



「翼、やれ」

「ぬいぬいさー!」



赤いボタンを押せば
頭上高くで翼愛用のクマが
桜を降らす


正確には
桃色の微粒子を
雪に乗せた


俺達だけの、桜




「桜だ…!」

「冬に桜だなんて会長らしいですね」

「オレも頑張ったんだぞーっ」

「翼くんが作ってくれたんですね
ありがとうございます
とても綺麗ですよ」

「ぬはは」



桜はいつも
別れの季節に咲く

または出逢いの季節に。



桜は、人の背中ばかり見て


「来年は…」






鮮やかに散る





「ぬいぬい留年しろお!」

「翼くん馬鹿はいけませんよ」

「だって〜」

「始まりは別れで
別れは始まりって覚えとけよ翼!」






桜が美しいのは

散りゆく様とそれから







来年もまた美しく咲き誇るからだろう





「また皆で花見しような」








それといつ

俺はあいつに好きだといえるのだろうか




桜に扮した雪に
そっと問いかけてみた





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