140字(twnovel) No.12

 
■Log ; 2013年12月2日〜16日(No.331〜359)

359.リア充滅びよ/358.メロン味でいただきます/357.夢の種/356.粉雪/

355.オホーツクの魔法使い/354.尽きる日は来ない/353.きっと同じ運命の環の上/352.愛してるから許せない/351.したり顔/

350.僕は君の奴隷/349.座敷童さんメリークリスマス!/348.ずっと好き/347.気まぐれ寝仔/346.ナイなら作ればイイヨ!/

345.吸血夫と狼妻/344.おとなになったらぼくとけっこんしてください/343.労わりの手/342.とろける前に/341.パールハーバー/

340.アレルギー世代/339.クリスマスが今年もやって来る/338.顔が濡れても大丈夫/337.ナイッスー!/336.ふたり、だから/

335.ね、神様?/334.秘密の小瓶/333.電波禁止専用車両/332.およげ!たいやき屋さん/331.冬眠?/


 
【冬眠?】
お腹にたっぷり脂肪を蓄えて、ふかふかの寝床を準備して、私は冬眠することにした。おやすみなさい。来年の春まで起こさないでね、と家族に声をかける。
約3ヶ月間。時々起きてはトイレに行って、水だけを飲んで。春になったらスレンダーな私になっていると、夢見ながら眠り続ける。


【およげ!たいやき屋さん】
毎日毎日、ボクは焼くのが嫌になって、屋台を閉めて海に泳ぎに出た。
本物のタイになった気分だ。狭くて熱い場所に閉じ込もり、鉄板に生地を流してひっくり返すだけの人生なんて…
でも泳ぎ疲れたボクは、岸に上がると自分の焼いたタイヤキを食べた。うまくて、また食べたくなって。


【電波禁止専用車両】
乗車する人は必ず通信機器の電源を切らなければならない、専用車両が作られた。ペースメーカーや補聴器を使用している人、また電磁波過敏症の人などが利用していたがあまりに乗車率が低く、車両の入口にいる指導員がスマホを利用しているところがツイッターに晒され、問題になった。


【秘密の小瓶】
秘密の小瓶がありました。
透明な小瓶で、中は透けているのですが、中身も透明だったので、ほとんどの人はそれが何だかわかりませんでした。
同じ小瓶を持っている人だけが、小瓶の秘密を知っていました。
でも誰にも言いません。
もし言えば、自分の秘密もバラしてしまうからです。


【ね、神様?】
7日間で世界を創れたなら、20日間もあれば世界を何回も滅ぼせるわ。ね、神様?
私の膝の上に乗り、悪戯に笑う幼い少女。
自分の髭を撫でながら、苦笑する。
可愛い孫から要求されたクリスマスプレゼント。さあ、叶えるべきか、否か。
(#聖なる滅亡 へ提供)


【ふたり、だから】
日常にいつも君がいるから、ふとした時に忘れてしまう。
君は僕ではないのだと。
朝から晩まで一緒にいても、僕たちはふたりでひとりじゃない。
ふたりだ。
それを忘れかける頃に、君は甘えたように僕の手に細く柔らかな指を絡めて、キスをねだる。
ひとりじゃ出来ないよ、と。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【ナイッスー!】
おとなが座るには小さくて、こどもが座るには大きな椅子がありました。
誰が座ってもしっくりしないので、その椅子はうっすらと砂埃を被りながら、店先でメニューの書かれた黒板を掲げる役目になりました。
しかし椅子は喜んでいました。黒板は、椅子にピッタリのサイズだからです


【顔が濡れても大丈夫】
ぷかぷかと、お風呂に浮かんだそれらをぼんやりと見ていた。
すくい出して外へ出すことも出来たけど、きっとすぐに湯舟の中に戻されて、ぷかぷかと浮かんだり沈んだりするから。
目の前にあるがままを受け入れようと思った。
顔が水に濡れても平気な、塩化ビニールのヒーローたちを。


【クリスマスが今年もやって来る】
週末が来る度に、彼女は私の手を繋ぎたがる。
ねぇ、こっち。今度はあっち。
ショッピングモールの端から端まで、ひらひらの白いコートを翻す彼女は天使のような、はたまた…
キラキラと輝く瞳に問う。今年のサンタさんへのお願いは、もう決まったかい?
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【アレルギー世代】
真っ赤で美味しそうな林檎に、しっかり毒を塗りこんだわ。一口かじるとイチコロよ。世界で一番美しいと、鏡が答えたあの娘。野うさぎと遊び、小鳥と歌うあの娘へ。
「お嬢さん、美味しい林檎だよ。おひとつ、どうぞ?」
「ごめんなさい、私、アレルギーなの」
…これだから今の子は!


【パールハーバー】
あの夏の負けた悔しさばかりが心に遺る。
強い絆で結ばれたものたちが、次々とうたれた、あの日々の終わりを。
しかし終わりがあるのなら、始まりがあったのだ。
誰がいつ始めたのか。何がきっかけだったのかを、忘れてしまう恐ろしさ。
あの冬の、今日を、後世まで胸に刻み付けよ。


【とろける前に】
冷たい、と言った手は赤く、アイスキャンディーのようだった。
自分の手の熱で温めて、溶けて消えてしまわないかと心配になるほど。
でも冷たいまま、ほっとけない。溶ける寸前に手を離せばいい、と手を握った。
あったかいね、と微笑む君に、僕の方が先にとろけそうになる。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【労わりの手】
泣いて泣いてスッキリするなら、いくらでも泣こう。
でも泣いても泣いてもスッキリしないし、嗚咽が出るまで何もかもを吐き出しても、スッキリしないこともあって。
カラカラに乾いて干からびそうな私の背を、労るように優しく撫でるその手だけが、唯一の救いのような気がした。


【おとなになったらぼくとけっこんしてください】
小さい頃に交わした約束を、今でも覚えているんだけど。
ずっとずっと、まだ早いと思っていたから黙っていたんだ。
でも、しびれを切らした君が「約束を守りなさい!」と怒って飛び出した時。
警鐘が鳴った。まるで教会の鐘の音ように、高らかに。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【吸血夫と狼妻】
朝陽を浴びると灰になってしまうので、夕方まで起きなかったけど。
妻が夜になると狼に変身してしまうので、独身時代を改めて昼夜逆転の生活を送ることにした。
遮光カーテンを閉め切ったリビングで、コーヒーを淹れる美しい君。
「おはようあなた。ご飯にします?」それより、君で。


【ナイなら作ればイイヨ!】
私にはなんにもナイと思っていて、周りからはそんなことナイヨと言われて育ってきた。
だけど初めて会ったあの人に、ナイなら作ればイイヨ! と手を引っ張られ、新しい世界に放り出された時から。
目に見えるものと自分を、愛しいと思えるようになったの。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【気まぐれ寝仔】
縁側でひなたぼっこをしている子、どこの子?
気まぐれに現れて、干している柿をつまみ食い。
昼間から夕方までグーグー寝て、あくびをひとつ。
首の鈴をチリンと鳴らし、いなくなる。
あの子がいた場所を撫でると、日だまりの温かさがまだ残っていた。
(#twCATnovel へ提供)


【ずっと好き】
スヤスヤと、僕の隣で安心して寝る君の寝顔が好きだった。
それから。スースーと、ぷっくりした頬が君に似ている娘の寝顔が好きだった。
最近は、目尻や鼻の脇にしわと、生え際に白髪が増えた君の隣で。
今も一緒に寝ているいるこの時間が好きだ。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【座敷童さんメリークリスマス!】
古民家に住む人間たちが寝静まったのを確認して、家の中へ入る。
居間や客間など、寝ている人間がいない部屋を、ひとつひとつ確認していき、屋根裏部屋でようやく見つけた。
煤けた赤い着物を来た、おかっぱ頭の女の子。
新しい着物を、枕元に置いていきますね。
(#世界のサンタ へ提供)


【僕は君の奴隷】
君がいないとダメなんだ。
君のために働くし、ご飯も作るよ。
欲しいものは何でもあげる。
愛も時間も何もかも。
いつもはツンとしてる君が、フワフワのしっぽを揺らしたながら黙って僕に撫でられて、喉を鳴らしている時が至福。
(#猫もっと愛したい協会 へ提供)


【したり顔】
近くにいすぎると、細かな変化に気づいても、大きな変化を見逃してしまうらしい。そういうものなのだろうか。

例えばね。あなたは毎日、珈琲を飲むじゃない。ずっと同じ瓶に入っている、インスタントの珈琲。いつからその銘柄が変わったか、わかった?

そう言う君、そういえば誰だ?


【愛してるから許せない】
大切にしているものだからこそ、目を背けてしまう。
それはたぶん、僕の期待が高すぎるせいだからだと思うんだ。
期待を満たされないのが怖い。満たしてくれないのが悔しい。
真っさらな気持ちで、ありのままを僕が受け入れられたらいいのに。
愛してるからこそ、許せなくなるんだ。


【きっと同じ運命の環の上】
あなたと私って、よく似てるね。双子みたい。
身長も体重も同じくらい、好きな教科や食べ物も同じで、テストの結果もどんぐりの背くらべだね。
私に起こったことは、あなたにも起こりやすくて、その逆もあったりで。
きっと同じ運命の環の上にいるんだよ、私たち。
(#twnvday へ提供)


【尽きる日は来ない】
赤い薔薇の花が毎日贈られる。
愛の言葉が添えらた、美しい花。
一日一本。多いときは三本ほど。
百本分の薔薇の花を生けられる大きな花瓶が、十あっても足りなくなった。
千の言葉に乗せられたように、あなたの愛と薔薇の花が尽きる日は来ないのでしょう。
(#世界もっと愛したい協会 へ提供)


【オホーツクの魔法使い】
強風で家が吹っ飛び、流氷の上に落ちたと思ったら、誰かが家の下敷きになっていた。
どうやら寒波の魔女らしい。偶然とはいえ、寒波の原因を倒したので、これでもう冬が終わると思ったのに。
温かくなったせいで、家が乗っかっている流氷がますます陸地から離れる。しかも溶け出した。


【粉雪】
目の前が真っ白になるほどの粉雪が降っていて、私の手に着くそれがどんどん溶けて水になる。
服に着いたそれは、風が吹くと簡単に飛ばされて、どこか違う場所へと落ちていく。
舞い落ちる粉雪の行方など誰も気に留めていない。
例え目を凝らしても、同じ顔の粉雪は無表情で舞い続ける。


【夢の種】
真冬に咲いた向日葵は、夢の種をたくさん作る。
東から西へと太陽に真っすぐ向いてぐんぐん伸びていく姿に、魅とれる私の手の中にもひとつ、種が落ちてきた。それを胸の中にしまう。
すぐに植えて、新しい花を咲かせられたらいいのだけれど、与えられる水が今は無いから。


【メロン味でいただきます】
朝になっても雪が止まず、真っ白にてんこ盛りになった雪山の下に家が埋もれてしまった。
光も音も閉ざされたはずなのに、ザクザクと音がする。
すると突然、庭に光が入った。同時に、庭に大量の緑色の雨が。
ザクザク。
巨大な銀の匙が、庭をほじくり出した。そしてそれは我が家に向き…


【リア充滅びよ】
クリスマスを滅ぼすためワタシ作られマシタ。製造番号はSt5Clan22aau1sデス。アナタに恋人いマスか?と、真っ赤な服を着たカタコトの外国人に声をかけられる。
昨日フラれたのでいませんと答えると、深く同情された。何か、俺も滅ぼしたくなった。
(#聖なる滅亡 へ提供)

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