「土地か?株か?欲しいものを言え」
クリスマスに何が欲しいかと聞かれ、悩んでいたらそんなことを言われた。
「三成・・・」
流石の兼続もそれには呆れた。
元々、愛情を示すのが下手なのは知っていたが、まさかこんな愛情の示し方をされるとは思わなかった。
三成は愛情を物などで示そうとする。
言葉だけで十分嬉しいのに、兼続とは違い言葉にすることが中々出来ない。
「物はいらない。それより、私を愛してると言ってくれないか?」
三成はその言葉に目を瞑り、唸った。
悩んでいるようだ。
かっと目を見開くと、口を開いた。覚悟したようだ。
「あい、あ、あい、あいあいあ」
先が一向に出てこない。言おうと努力してるのは認めたいとは思った。
顔を見れば、真っ赤になっている。
(可愛らしいと言ったら三成は怒るだろうか)
三成は壊れたレコードのように同じ言葉を繰り返す。
段々と拷問しているような気分になった。
「もう良い、三成」
きゅっと身体を抱き締めて、顔を見据える。
「呆れたのか・・・?」
兼続は首を振ると、まさかと言った。
「クリスマスは私と居れるか?」
「あぁ」
「それなら、私が料理を作ろう。家に来てくれ」
そのまま当日のプランを話し始めた。
兼続には、高い宝石も素晴らしいイルミネーションもいらない。三成がいれば良い。
それ以上を臨むというのは失礼になるだろうと思ってすらいる。
判ったとこくりと頷く。
「ケーキはどのくらいがいい?」
「どのくらい!?」
このくらいか?と両手を広げる兼続に三成は驚いた。
「いや、普通の大き・・・・」
「私の愛の大きさほどにすると、ウェディングケーキくらいか?それでも小さいくらいだな」
「!?」
ぐっと拳を作り、意気込む兼続にぶんぶんと手を振った。
「ケーキは俺が用意する!」
「そうか?」
残念だなと兼続は呟いた。本気でウェディングケーキくらいの大きさのケーキを作るつもりだったらしい。
考えただけで三成の胃が悲鳴をあげた。
「三成と初めてのクリスマスだ!張り切らせてもらうぞ!!」
言葉に多少の不安を覚えたが、二人で過ごすクリスマスを考えると心躍った。
「うん、良い顔だな三成!!」
兼続がにこやかに笑って三成を見た。
つい、ふよっと顔が緩みきってしまったことに気付く。頬をぱしっと抑えると、引き締めた。
終