慶次は気絶した兼続を抱えた。
自分の屋敷へ連れ帰ると、景勝に告げた。
景勝の許にいると、兼続は何時までも正気には戻れないと感じたからだ。
景勝自身もそれを承知した。慶次を信じようと思った。

別れる前に兼続の頬に触れた。
うっすらと血の跡が残っている。それを拭った。
指に付いた血を見、ぐっと手を握り締める。

「兼続を頼みます」

そう云うと景勝は頭を下げた。

「あい、判った」

二人のためにも何とかしようと慶次も頭を下げた。



屋敷に戻ると、布団へ兼続を寝かせた。
また暴れてはならないと手を縛り、体にはしびれ薬で自由を奪った。
あまり良い心地はしなかったが、仕方ないと己に云い聞かせる。
まず、兼続の身に何があったかを知る必要があると思った。そこから、兼続を元に戻すための切っ掛けが掴めるかも知れない。

捨丸は木の屑のような薬草に火をつけた。これは以前、岩兵衛にも使った薬草だ。これで岩兵衛の過去を探ったことがある。
薬草の匂いが部屋に充満していく。
兼続にもそれが利き始めたと感じた頃、慶次は何をされたか訊ねた。ぽつりぽつりと誘われ、兼続は話を始めた。





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テーマ「人外ファンタジー」
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