「利家様の家臣になることにしたよ」

荒子城の城代だった助右衛門が、城も家督も利家に受け渡された今、自然と助右衛門も利家の家臣になることは決まっていたことではあった。
だが、内心は迷っていたところもあった。
慶次にそう言葉にしたことにより、助右衛門は命をも利家の為に尽くそうと改めて決心したのだ。

「は?」

それに慶次は怪訝な顔をした。

「あいつに抱かれるのか?」

その言葉に、今度は助右衛門が怪訝な顔をした。
何を云ってるんだと云い返す。
そんなことがあるわけないだろうと。

「いいや、あるね。」

あの男のことだ、絶対にあると慶次はそこまで云い切った。
それに利家は小姓を性の対象として見ていたのを慶次は知っている。男から見ても美しい助右衛門を抱かない訳がないと慶次は思ったのだった。

「俺は抱かれる為に家臣になるわけではないぞ」
助右衛門は否定した。

「なら、あいつがおまえを抱くと云ったら断れるのか?」

だが、そう云う慶次の言葉に詰まった。
どう返していいものかも浮かばない。

慶次は助右衛門の性格を熟知していた。
きっと利家にそう云われたら、渋々承諾してしまうのだろう。言葉で上手く返せばいいものを、きっとこの男はそうすることが出来ない。

「おまえがあいつに抱かれるのは嫌だ」

ふいと拗ねてみせた。駄々っ子のように。
慶次が助右衛門に惚れているから嫌なのか。
それとも、あの利家だから嫌なのか判らない。
どちらにしろ、なんて身勝手な男だと助右衛門は感じた。

「俺はおまえのものでもない!」

助右衛門はそう叫んだ。
確かに迷ってはいたが、己の下には守るべき家臣やその家族がいる。
抱かれたくないと云う理由で家臣になりませんなどとは云えるはずもない。
こればかりは、慶次の我が儘に付き合うことなど出来ない。
あまりにも自由な慶次に腹が立った。 殴ってやりたいとすら思った。

「…すまん」

慶次は小さく謝った。怒りに任せてそう云ってしまったが、慶次が自由なのは今に始まったことではない。
それが羨ましくなり、八つ当たってしまったと助右衛門も詫びた。

沈黙が続く。
本当に抱かれなくてはならないのだろうかと助右衛門は考えてみた。
実際、男からは抱かれたことはない。
ちらりと慶次を見た。この男はあるのだろうかと思った。
聞けば無いと返ってきた。男を抱いたことはあるのかと再び聞くと、それも無いと返ってきた。
だが…と言葉を続ける。

「助右衛門を抱きたいと思ってはいる」

理由を訊ねると、惚れているからとさらりと云われた。
助右衛門が淡々と色気も何もないなと返すと、慶次はそれに、にこりと笑った。
その屈託の無い笑顔に、思わず心の臓がどきりと高鳴る。
女子はこの笑顔にやられるのかと助右衛門は知った。

ふーと溜息を漏らすと、いいよと慶次に伝えた。

「最初に抱かれるなら、おまえがいい」

慶次は安堵した微笑を浮かべると、うんと頷いた。
それを見た助右衛門も、ややぎこちない微笑を浮かべた。





「っ…ふっ…」

布団の上で四つん這いにさせられ、助右衛門は恥辱に頬を染める。
潤滑油で濡らした指が、中の多数の箇所を刺激していく。
自分で許した行為ではあったが、快感よりも恥辱のが深く、行為をやめさせたい気持ちしかなかった。

「け…けいじ…も、ういいのでは…」

ことをさっさと終わらせてしまいたいと助右衛門は思った。
痛いという感覚はなかったが、そんなにも気持ち良いでもなかった。
ただ、慣れない。
不快感が付きまとう。

「まだ、駄目だな」

慶次の指が中を探るように、動き回る。
熱く濡れる其処。
指を動かせば動かすほど、熱くなっていく。
奥へと奥へと指を進ませていき、助右衛門の物の丁度、中側に当たる部分を責めてみた。
びくんの助右衛門の体が大きく震えた。

「あぁぁっ!」

己でも驚くほどの声を出してしまった。
布団に上半身を倒すと、布団で口を塞いだ。

慶次はにたりと笑うと、其処を執拗に責めた。
ぴくんぴくんと助右衛門のものが波打つ。

「…っ…、ん…」

先ほどまで感じていた不快感に変わり、むず痒いような、体の心が震えるような何とも云えない感覚が襲う。
何とも云いがたいが、がくがくと震える己の体は快感を感じているのが判った。

それに気付いた慶次は助右衛門の物に触れ、それを扱き始めた。
助右衛門が軽く頭を振った。
それでも慶次は止めようとせずに行為を続ける。
先端の部分を指の腹でなぞったかと思えば、その周りを激しく擦り、根元の部分を扱く。
もう片方の手は先ほどの部分を責めに責めた。

「あぁッ…く……ふっ…」

耐え切れず、助右衛門は慶次の手の中に白濁の液を吐き出してしまった。
肩で息を吐くのを繰り返しながら、ぐったりと布団に下半身をも倒れこませた。

慶次は吐き出された白い液を指で擦りつつ見つめると、その指を助右衛門の中へと挿入させた。

「け、けい…」

入れられた行為だけで、助右衛門を快感の波が襲う。
ほんの僅か前に吐き出したばかりだと云うのにも関わらず、まだ足りないとでも云いだげに、そこはひくひくと慶次の指を受け入れた。

「そろそろいいかな?」

独り言のようにそう呟くと、慶次も着ていたものを脱いだ。
助右衛門の瞳に慶次の猛ったそれが見えて、思わず慄いた。入り口に宛がわれたそれに、流石に無理だと抵抗するが、ゆっくりと慶次は其処を広げていく。

「うッ…っ…」

解されたとは云え、やはり痛かった。痛みに助右衛門は顔を歪める。
呼吸を何度か繰り返すと楽になるので、荒く呼吸を繰り返した。

痛みと共に慶次のが入ってくるそれは、熱くて仕方なかった。
責められていた箇所へと進むと、慶次は動きを止めた。

「大丈夫か?助右衛門」

此処まで挿入させておいて、大丈夫かは無いのではと思ったが、助右衛門は首を縦に小刻みに動かした。
慶次は手を伸ばすと、汗で濡れ張り付いてしまった助右衛門の髪に触れた。
髪に口付けを落とす。
かと思えば、助右衛門の背に口付けを落とす。
左肩にも、右肩にもそう繰り返す。

助右衛門の体が、かぁっと体が熱くなっていくのを感じた。
本当に慶次は己に惚れているのだと判ったのだ。
それと同時に、嵐の日の津波のように快感が押し寄せてきた。

「あ…あぁ…」

目の前が真っ白になった。
繋がっている部分から、感覚が鋭くなってしまったのではないかと思えるほどに快感の波を生む。
何度も押し寄せる波に助右衛門は飲まれていった。





助右衛門は、はぁはぁと何度も荒く呼吸を繰り返しながら、布団から起き出せないでいた。
横に居る慶次を憎く思った。己をこんなにさせておきながらも、自分は清々しい顔をしている。
しかし、殴るにも蹴るにも体が動かない。

慶次がじっと顔を見る。
急に助右衛門の顔が、かっと赤くなり顔を逸らした。
ははーんと顎を撫でると、俺に惚れただろとにやつきながら云った。

「莫迦が」

そうとだけ悪態付くと、顔を布団に埋めた。
耳が真っ赤に染まっている。
慶次はそれを見ると、満足そうに笑った。







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後記

相互お礼なのにも関わらず、初とも言えるがっつりと指定でした。
奥村さんのヴァージンを空様に捧げます。
私にはとても珍しい幸せな慶助だったと思います。そして、奥村さんが利家に抱かれたとかは…どうなんでしょうか?(聞くな)
駄文ではありますが、受け取ってくださると嬉しいです。
空様に限り、お持ち帰りOKです!
ありがとうございました!!

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