女と大した差はない。締まる分、幾分か女より良いかも知れない。
氏康のものをぎゅっと包み込む、その熱さを感じながらぼんやりとそんなことを思った。
己の上に乗る、兼続を見た。垂れた髪で目元は見えないが、口からは荒く呼吸が繰り返されている。目線を下ろせば、着物の間から見える鍛えられた胸板。そしてその下の腹に付くほどにそそり立つ陰茎。
それらを見て、興奮はしないが、萎えはしなかった。
「動け」
吐き捨てるように言えば、兼続はふぅふぅと息を吐きながら身体を上下に動かした。抜いて、入れるときに滑った音がした。それに加えて兼続の呼吸と僅かな喘ぎが連なる。
氏康のものは謙信のものとは違う刺激を兼続に与えた。
拡張されているような太さのものに思わず、身を捩じりたくなった。これ以上、激しく求めれば快感に堕ちてしまうことは容易に想像が付く。溺れてしまう真似だけはしたくない。兼続はなるだけゆっくりと腰を動かした。
先端の太い部分が入り口近く、抜けそうになるくらいまでに身体を持ち上げたときに、氏康がぐっと肩を押した。
「あぁぁッ!!」
根まで一気に突き立てられた。
擦れたそこから、全身に電撃のような痺れが走った。
「あ、あ、ぁ、あ」
がくがくと身体が打ち拉がれたように震る。氏康の身体に倒れてしまいそうになるのだけは耐えた。
「足りねえな」
ぺろりと氏康は己の唇を舐めると、兼続の腰を掴んだ。そして、下からごんごんと思う存分腰を打ちつけた。
「あ、ああ、あ」
あまりの激しさに兼続の身体が氏康の身体へと倒れこんだ。
臀部を強く鷲掴みにされ、激しく突かれる。逃れたいのに、悦楽から逃れることが出来ない。
肌と肌との間で、兼続のものが擦れ、別の快感を生む。
あと、ほんの少しで達してしまいそうな時、氏康が身体を起こし、兼続の陰茎の根を掴んだ。
「う、ぁ…あ」
爪が食い込むまでに強く握られ、兼続は唸った。
「まだ…だろう、兼続。達するには早えんじゃねえか?二度も先に達するなんて甘いんだよ」
不敵に笑うと、兼続の髪を縛っていた紐を解いた。そして、兼続の陰茎の根を強く縛る。そこはぎちぎちと紐に食い込み赤く腫れ上がった。
「う、氏康…こっ!くっ…あ、ぁ」
痛みが襲う。達したくても達せない辛さと共に、じんじんと痛んだ。
快感が増せば増すだけ、そこが痛む。痛みを伴っているにも関わらず、どうしようもなく氏康のものを求めてしまう。
言葉の代わりに涙となって溢れた。
「可愛い顔、するじゃねえか…」
ふっと笑うと、兼続の身体を蒲団の上に倒した。繋がったまま、兼続は蒲団に倒れ込む。
脚を掴み、身を己の方へと引くと、兼続の口を吸った。 そして、激しく腰を打ちうける。
苦しさ、快感、痛みが追い上げ、追い詰めた。
「んん、んっ、ん」
当たった唇を感じながら、兼続は快感の波に飲まれてしまいそうなのを必死で耐えた。
繋がっている肉体の肌の感覚。激しく中を擦る熱く硬い存在に、ぞくぞくと身体が慶びに震えた。
「ふっ、あ、ぁ、出したいっ!!出させてください…っ!!!」
唇を開放された瞬間、兼続はそう叫んだ。悲痛な叫びを聞きながら、氏康はくくくと嘲った。
兼続が氏康を求めて、腰を動かしている。
濡れそぼった眸で氏康を見ているが、大分虚ろになりつつあった。もう我を忘れてしまっているのだろう。
氏康は兼続の脚を持ち上げると、激しく突いた。
「ほら、達しろ」
そういうと、しゅるっと紐を解いた。
解いたと同時に兼続が叫び、絶頂を迎えた。それに誘われ、氏康も兼続の中に熱い迸りを発した。
「どっちが善かった?」
ふぅと白い煙管の煙を吐きながら、氏康は兼続に訊ねた。勿論、謙信とどちらが善いのかということだ。
「謙信公です!」
きっぱりと兼続は答えた。だが、未だに起き上がることが出来ないくらいに身体は快感に震えている。
ふーんと笑いながら氏康が身体に触れれば、びくんと過剰に反応した。
「氏康公っ!!!」
兼続が赤面しながらも叫ぶと、くくくと氏康は歯を鳴らして笑った。
終