激湍


「っ…ふっ、う、う…」

与六は嗚咽を漏らした。
己の体内をかき混ぜる指。それはゆるゆると奥の襞に熱を与える。心の襞にまで触れられているような気分になった。
刺激に身悶えながら、濡れた眸で白い布団を見つめた。

「大分、受け入れる身体になってきたな」

氏康がそう独り言のように呟いた。
そして、ぱさっと衣服の衣擦れが聞こえたかと思えば、身が引かれる。氏康の太い腕の中に抱き止められた。
ずるっと指が引き抜かれ、代わりに指とは比べようもないくらいに太いものが柔らかな尻肉の奥に当たる。
与六はふるっと黒髪を揺らした。

「っや…」

当たる陰茎は、外から感じるほどに熱い。
与六はふるふると頭を振った。
与六の願いは聞き入れられず、両の下肢が抱き上げられる。恥辱を感じる格好に氏康の腕を握り締めた。

「や、です…」

いやいやと首を振った。
入り口が刺激され、ゆるゆると身体が受け入れようとしているのが解る。それほどまでに慣らされた身体。
それでも、与六は氏康を拒もうとした。

「教えただろ?何て言えって言った?」

低い声が耳から脳を痺れさす。与六は氏康の言葉に小刻みに身体を震わせた。身体が戦慄く。
氏康が与六の脚を強く抱き寄せた。柔らかな白い脚に指が食い込む。

「お、…っ、うっ…お、おか…してください…」

ひくっ、ひくっ、としゃくり上げながら、与六はそう言った。
言葉に笑い、氏康が手の力を抜く。

「あぁぁっ」

己の体重で氏康の物が奥へと入っていった。
ずぶずぶと沈んでいく身体は、氏康のものを咥え込んだ。

「やぁ、や、やぁ」

それは身体の中から抑圧していく。苦しさに与六はふぅふぅと息を吐いた。
抜きたかったが、この体位では抜くこともままならない。ほんのわずか動いただけで、奥をぐりぐりと刺激される。
氏康はその体位のまま、下から突いた。身体が預けられているので、されるがままになってしまう。

「は、あ、はっ、や、やぁ…あ」

空気を求め、荒く呼吸を繰り返す。
深くを突かれ、苦しい。

「や、ぁ、あぁ」

苦しい中にも何故かむず痒い気持ち良さがある。段々と、より深い場所へと氏康のを求め、腰が動いた。

「なんだ、嫌だと言いつつ、感じてるんじゃねえか」

氏康が背から与六の脚の間を覗けば、ぷくりと膨らむ蕾が見えた。
腕で脚を支えると、その蕾を指先で扱いた。

「あっ、や、やぁ、あっ」

先端から花開き、赤い身が見える。
そこを刺激すれば、とろりと先走りの透明な蜜が零れた。

「あっ、あっ、あ、」

しばらく刺激を繰すと、今度は先端から白いものが零れ落ちた。発せられた液は、布団を濡らした。
身体が矢なりに反れる。氏康の胸をどんっと突くように倒れこんだ。

「あー、あー…」

与六は荒く呼吸を繰り返しながら、内太腿を震わせ、ぱたたと涙を落とした。
繋がりあった中は蠕動を繰り返し、氏康のを締め付ける。

そのまま与六の身体を倒し、四つん這いにさせた。
まだ余韻に浸っている身体は震え止まない。そんな与六を見ながら、氏康は奥まで突き上げる。

「あー、あー」

刺激に堪えきれず、与六の身体は布団に倒れこんだ。腰を氏康は抑えた。
臀部だけを浮かすような形になった。
押し付けるように氏康は自分のものの挿入を繰り返した。

「やー、やぁ、謙信公…けんしんこう…っ」

涙で顔を濡らしながら、与六は謙信の名を呼んだ。

「そんなに今の姿を見られてえのか?」

ふんっと嘲るように笑うと、与六の肩に歯を立てた。ぎりっと噛みつき、そしてそこを強く吸う。
赤い痕が出来上がった。
与六は布団を掴みながら、小さくふるっと首を振った。

腰を強く掴まれ、奥を奥を刺激される。

「あ、あ、あぁぁ」

ぎゅうっと布団を握ると、与六は二度目の射精をした。
残った液が涙のように、ぽたぽたと零れた。
射精したばかりの痙攣を繰り返すそこを、止めることなどせずに猛ったもので激しく擦った。

「っ…っ、…っ」

強い刺激と悦楽に声すら出すことが出来ない。
氏康はその与六の姿に笑い、繋がったまま脚を持ち上げた。
身体が横を向かせられる。

「ひ、あぁっ!」

先程とは違った刺激が与六を襲った。
逃げようと布団を掴むが、氏康に制されてしまう。
ぐいぐいと奥まで押し付けるように擦られた。

「う、う、うぅ…ん」

苦しさに唸るような声を出した。

そして、また脚を掴まれ身体を捩じられる。
今後は氏康と向き合う体形にされた。

「やっ!」

そのまま出し入れされるのかと思っていると、急に臀部が持ち上げられた。

「突っ込まれてんのが解るか?」

しっかりと瞑った眸を明ければ、己の下半身が見えた。
立ち上がったものと、そして繋がったそこ。
かぁっと与六の身体が熱を持った。

「おら、触ってみろ」

見せられるのではなく、手で氏康の陰茎を握らせられた。それはぬるぬると湿っていて、与六の手をも湿らす。
その先へと手を運べば、己の中へと挿入されている。

「っ、くっ…ひっ、ひっく…」

罪悪感のようなものが与六の胸を突いた。
しかし、氏康が動けば、それは悦びに変わる。
激しい律動に身体を震わせながら、与六は快楽に身を落とした。



すーっと、隣の障子が開き、謙信が姿を見せた。その障子は隣の部屋とを分け隔てていたもの。
謙信が目線を下に落とせば、布団の上で白濁に塗れ、蹲っている。
与六の側に寄ると、身体を抱いた。そして、髪を撫でた。
僅かに微笑を浮かべる謙信の与六を撫でる手は、それは優しいものであった。









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後記

氏康×与六とか書いてしまいましたが、どうなんでしょうか?
謙信公は与六が好きだけど、抱く事が出来なくてだから氏康に抱かれるのを見ている(聞いている)のに愉悦を感じてしまうとか、そんな不義な話です。
そして、それを知っているからこそ氏康公は激しく与六を抱くのです。

タイトルは謙信公が感情の面で、氏康公は性行為の面で激しいという意味を込めてそんなタイトルにしました。







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