膝立ちで立ち、兼続は氏康の首に腕を絡ませた。
与えられる快感にへたり込んでしまいそうだった。それに堪えつつ、氏康に何度も口付けをした。煙管の味が口に広がる。
今ではその味ですら、身体が痺れるようになっていた。

「おいおい、濡れ過ぎだ」

氏康は兼続の密所を指で刺激している。
中を乱暴に掻き回せば、腕を伝い、愛液が溢れ出てきた。

「…氏康公が…気持ち良くするからです……」

大量と言っていいまでな液体は、淫靡な音をより一層大きくさせた。
その音にまた濡れる。

「こんなに感じるなんて可笑しいだろ。他の男にも調教させられてるのか?」
「私は氏康公しか知りません!」

カッと顔を赤らめ、兼続は叫んだ。

「…冗談だよ」

そう言い、氏康は優しげに頬を撫でた。
こんな身体にしたのは己だと解っている。兼続は正直だ、身体もまた同じ。氏康の好みに育てられた身体は他人を受け入れたら、違和感が多少たりとも出てしまうであろう。それ程までに正直な身体なのだ。

ねっとりと口付けると、舌を絡ませた。下がきゅっと締まる。
未だに兼続は遠慮がちに舌を絡ませてきた。いじらしく、そこがまた可愛らしくもある。
息を吸うのに適した瞬間も掴みかねないのか、苦しそうにする兼続を鼻で笑い、解放してやった。

下を責める指を増やしながら、反対の手で乳房を揉んだ。身を屈めると先端を口に含む。
舌先で軽く愛撫した後にそこを強く噛んだ。

「痛っ」

びくんと身体が震え、ぐっと下肢に力が入った。ぐっ、と締まる。

「痛いの好きだな」

意地悪く笑うとふくよかな乳房に歯を立てた。

「っ……」

声も立てずに兼続は堪える。口を解放すれば、そこにははっきりと歯形が出来ていた。
吸って出来る痕より、兼続の肌には艶めかしく見えた。

「もう欲しいか?」

氏康は下帯を剥いだ。雄々しい物を見、兼続はこくりと頷く。
身体も欲しくて堪らないのか、伸縮を繰り返した。
氏康の低く渋い声の振動する空気でさえ、兼続は感じてしまっていた。じんじんと甘く痺れる。

「てめえで入れろ」

氏康はずるりと指を抜いた。抜いた指はびしょ濡れと言うまでに濡れている。それを氏康は舌で舐めとった。
氏康の行動にきゅっと兼続は唇を噛んだ。氏康が欲しくて、身体が震える。
ごろりと横になった氏康の上に兼続は跨がった。掴むと、手の中でどくどくと脈打つ。
あてがうと、躊躇いなどなく一気に身を沈め、奥まで押し入れた。欲しくて仕方なかった。

「ああ…っ!」

声と共に液が溢れた。
硬いと感じるそれは身体の奥深くを突く。ぶわっと吹き上げてくるような快感。氏康に跨がり、動けないまま荒く呼吸を繰り返した。
揺れる胸を氏康は掴むと、ぐっぐっと揉んだ。
先端はかなり硬くなり、手の平を押す。
そこをも潰すようにしながら、揉むと何とも言えない吐息が零れた。

胸から腰へと手を移し、中を攪拌させるように腰を動かさせた。

「あ…っ、あ…、あぁ」

されるがままになりながら、兼続は喘いだ。
中は濡れ過ぎているのにも関わらず、氏康のをキツく締め付けてくる。
腰を突き上げられば、ぐちぐちと音が聞こえた。それもまた劣情を催す。
液が肌だけではなく布団をも、濡らす。まるで、違うもので濡らしてしまったかのようにぐっちょりと濡れた。

「やっ、だめです…そんなにはげしく……」

そう言ってはいるが、身体はもっとと求めてくる。ぎゅうっと氏康の首に絡み付いた。
氏康は兼続の臀部下を掴むと、立ち上がった。
ずるっと兼続の身体が下がる。深くまで氏康のが深く挿し込まれる。

「あっ…」

深く挿入される上に不安定さがあるその体位。
兼続は首に絡める力を強めた。
下から激しく突き上げる。奥深くを突かれている感覚に、兼続は意識が遠くなってしまいそうだった。力が抜けて、手さえも震えた。

「ふぁ、あ…、あ」

直ぐに挿し入れされているそこから氏康の脚を伝い、液が零れ落ちていった。

「てめえも好きだな」

ぐっぐっと突き上げられば、そこは切なげに啼く。啼きながらもキツく離そうとしない。
ゆさゆさと身体を揺らすと、乳房の先端が氏康の胸板に擦れる。

氏康はゆっくりとしゃがむと、兼続を濡れた布団の上に寝かせた。

「濡らし過ぎにも程があんだろ?兼続」
「す、みません…」

そう謝っても、下半身はぐっしょりと濡れている。
兼続の脚を開かせ、結合した部分を見た。花弁の間から赤く膨れたそこが覗く。
指を濡れた部分で湿らすと、指の腹で優しく撫でた。

「や…ぁっ」

身体がびくんと震え、きゅうきゅうと中が啼いた。
執拗にそこを責める。

「やっ、やぁ、あぁ」

逃げようとする身体を氏康は掴み制した。
兼続の眸からは自然と涙が溢れる。

「だめですっ…だめ……だめ…」
「兼続…」

氏康は身を屈めると、兼続の耳元へ口付けた。

「愛してる」
「っ…」

びくんと兼続の身体が大きく震えた。言葉と共に兼続は達した。ひくひくと中は伸縮を繰り返す。

「何だ、そんなに嬉しかったのか?」

兼続は身体を痙攣させながら、ひぅと息を吐いた。

「初めて…言って貰えた…からっ」

氏康は兼続の脚を掴むと、腰を押し付けた。肌がぶつかり、鳴る。

「あっ、あ、あぁ、あっ」

背に回す兼続の手に力が入った。
氏康は数度、身体を打ち付けると中に熱いものを吐き出させた。
臀部に当たる陰嚢が伸縮してるのが解る。身体が熱く、肌に玉のような汗が流れた。

「そうだったか?」

まだ繋がりあったまま、上から兼続を見つめた。

「そうですよ…言って下さったの…初めてです」
「ん?」

顔を覗けば、真っ赤に染まっている。
耳まで赤い。髪の色と相成って、まるで旬を迎えた紅葉のように赤く色づいたように見えた。

「兼続、お前も女なんだな。そんなのが嬉しいなんてよ」
「私が女でなくとも嬉しいです!!…惚れた相手にそう言われたら…でも、卑怯です。抱きながら言うなんて…」
「お前、そんなもの他に何時言やあいいんだよ」

少し考えた後、兼続は言う。

「寝る前にとか」
「…謙信の前でなら言ってやってもいいぜ」
「だ、駄目です!!」

そう言って、兼続ははっとした。

「…二人の時に聞かせて下さい」
「気が向いたらな」

氏康は兼続から抜くと、横に置いてあった煙管をくわえた。
ぷかりと浮かぶ煙が消えていくのを、布団で微睡みながら見つめた。








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