「政宗、一緒に風呂でも入らないか?」

その言葉に思わず飲んでいた茶をふき出してしまいそうになった。

「は?風呂じゃと…?」

互いの身体を見合う行為をしてはいたが、風呂には一緒に入ったことなどない。
政宗にどこか気まずいところがあったからだ。
若さ故に自分でも言うことを聞かぬ、下半身に…。

「嫌か?私と一緒に風呂は入れないか?」
「嫌…なわけがあるか…馬鹿め」

たどたどしく言葉を言った。
心臓はどっどっど、と高鳴っている。

「それとも何か、私の身体を見ただけで興奮してしまうか?」
「貴様の身体なんて見慣れておるわっ!!何を今更!」
「では、入ろう」

腕を掴まれ、風呂場へと連れて行かれそうになる。
政宗は手を振り払った。

「トイレじゃ!先に入って待っとれ!!」

兼続はそれに、は〜いと返事し、嬉しそうに風呂場へと向かった。
政宗はとりあえずトイレで落ち着くことにした。

(兼続の身体は見慣れとる…)

そう繰り返すが、明るい場所で対面し、風呂に入るのを想像するだけで、熱を持つ。
あの赤子のような肌に流れる湯と、それに火照った身体。そして、滴る汗。
きっと兼続は、行為の最中のように艶やかだろう。

(孫市と前田慶次の筋肉…マッチョ…)

危なく勃ってしまいそうになってしまった下半身をあらぬ想像で戒めた。
二人のあの身体を想像すると、幾分か落ち着いた。

(よしっ、伊達政宗、行くぞ!!)

まるで戦場に向かうような面もちで、政宗は風呂場へと向かった。
乱暴に服を脱ぐと、また乱暴に扉を開けた。
開けた瞬間に甘ったるい香りが鼻孔をついた。
それはバブルバーの香り。
そして、兼続の姿がどーんと目に入る。

「政宗、遅いぞ」

兼続は浴槽に浸かっていた。
既に洗われた髪。ほんのりと赤く染まった肌。
顔どころか、乳白色な湯に浸かっている以外の肌と唇の艶めかしいまでの潤いに政宗は目を細めた。

下半身のものが制御不能になる前に、身体も流さず浴槽に入った。

「こら、きちんと流してから入れ!!」
「うるさいわ、馬鹿め!…もうわしの負けでいい…」
「何の話だ?」

なるべく兼続を見ないように、政宗はように浴槽に目を落とした。
乳白色の湯は兼続が手でかき混ぜると泡だった。
ふわふわとたくさんの泡が水面に浮かんだ。

兼続は泡を手に乗せると、ふぅと吹いた。
バニラとラベンダーの香りが混じって香った。
しゃぼんが政宗に向かって飛ぶ。

「やめよ」

そう言うが、兼続が笑うので心が弾んだ。
兼続はまた吹く。
肌に当たり、ぱちんと弾けた。

「ははは」

笑う。
兼続が笑う。
政宗も笑い、兼続にしゃぼんを吹いた。
心は幸せに満たされた。

「たまには入ってくれないだろうか、一緒に」

兼続が微笑してそう言う。

「…仕方ない。たまにじゃぞ?」
「うん」

笑って、キスして、またしゃぼんで遊んだ。
ひとつの大きな泡がふよふよと天井目指して飛ぶ。
それはぱちんと消える。
きらきらとグリッターが綺麗に輝いた。









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後記

友達からもらったラッシュのバブルバーが嬉しくて書いたSSです。
バカップルっぷりが出せてたらいいなと思います(笑)






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