「孫市はこういう趣味があるのか?」
バレンタインのお返しにと貰ったものはアダルトグッズ。
しかも下着だ。
どう見ても下半身のものが隠れないそれは、紐と呼ぶに等しい。
「バレンタインのお返しと言えば、下着だろ〜?」
得意げにそう言うが、若い男の発想ではないと兼続は深い溜息を吐いた。
「私に穿けと?」
「もっちろん!」
キッと兼続は孫市を睨んだ。
「これを穿くぐらいなら、私は裸になる!!」
ぐわっと兼続は下着・・・もとい紐を握り締めた。
「だからだって。兼続は裸になるのに恥じらいねえもん。面白くないじゃんか」
「面白がられても……」
「ほらほら、折角の俺が買って来たものを無駄にするのか?」
「うっ……」
促されて仕方なく、兼続はそれを穿いた。
「おいおい、それだけじゃないと意味がないだろ?」
「いやだ!!こんなの…不義だ!!」
しっかりとTシャツを着ている兼続に孫市は言った。
兼続はそれに怒ると、ぼすーんとクッションを投げつける。
クッションは思いっきり孫市の顔にヒットした。
「なら、後ろだけちょっと。な?」
「・・・・少しだぞ」
手を広げた孫市に寄る。
ぎゅっと抱き締められ、そのまま後ろのソファへと座った。
背中のシャツをするするとめくると、兼続の白い臀部が目に入る。
腰とふたつの丘の間に走る赤い紐。
「兼続!」
「え?」
「やっぱ、全部見たい!」
「こらっ、ちょ…止めろ!」
ぼすっとソファに押し倒された。
やだやだと言いながら、兼続はきつく両足を閉じた。
「兼続〜」
「いやだ!!穿かなければ良かった!!」
そう言って解こうとする兼続の手を孫市は制した。
孫市は、ちゅっ、ちゅっ、と頬にキスをしながら、兼続に媚を売る。
「好きだからさ、兼続。見せてくれって」
「いやだ!…こんなの…」
目尻に涙が溜まっている。
孫市はうーと唸った。
見たいが、嫌がっている兼続に強制するのは忍びない。
ふぅっと息を吐くと、孫市は兼続の上から退いた。
「ま、嫌がるのを無理やりしたくはないからな。諦めるよ」
ひらひらと手を振ると、孫市はソファから離れた。
「……そんなに見たいのか?」
その言葉に孫市の目が光った。
ばっとこちらへと目を向けると、満面の笑顔を見せる。
(くっ、そういう作戦だったのか…)
孫市は完全に諦めたわけではなかった。
諦めたと見せかけて、兼続から折れるように仕向けたのだ。
「…少しだからな」
クッションに顔を埋めた。
孫市はどーんと座ると、兼続のTシャツをめくった。
また、その行為が孫市を興奮させる。
「うわ…すげぇ」
白い肌に食い込むそれは、肌の色と相成って愛欲をそそる。
近くで見ようと孫市が兼続の下半身に顔を近づけたとき、「終わり」と兼続が足を閉じた。
ぱちーんと孫市の頬を叩いた。
「いたたっ、急に閉じるなよ!…なぁ、兼続!このままやろうぜ!!」
孫市が兼続の尻の下に足を入れ、下半身を持ち上げた。
シャツがめくれ、それが露わになる。
兼続は必死で手で隠した。
「しない!今日はしないからなっ!!」
「いやいや、兼続だって勃ってんじゃん?」
孫市がそこに触れた。
びくっと大きく身体が震えた。
確かに兼続のものは屹立している。
「それでもしない!!」
「なぁ、兼続〜」
「駄目だ!!」
そうは言ってもそこは正直で、既に先走りの透明な液体を流している。
シャツの上から、そこを指の腹でなぞった。
「っ、うっ…ふっ…、」
じわじわとそこに染みが出来る。
「ホントにしたくない?」
兼続は、むぅと唸ると、孫市の身体に絡みついた。
「…したい」
耳元で呟くと、孫市にキスした。
シャツを掴んでいる手に孫市は手を絡める。
兼続が恥ずかしそうに吐息を零した。
「兼続、可愛いな」
「そんなことを言われても、嬉しくない!」
ちゅっ、ちゅっとまた音を立てながらキスをする。
舌先でちろちろと唇を舐めると、ねっとりと舌を絡ます。
それだけで体温が上昇した。
「好きだよ、兼続」
うんと兼続は返事をして、孫市から与えられる熱に眸を閉じた。
終