三「はぁはぁ…」

三成、残り三段

三「そう言えば、清正と話している途中から幸村の姿が・・・居た!!」

三成よりも一段先に幸村の姿があった

三「幸・・・!?」

突然、幸村の前の檀一部がばこんと開いた
中から、何かがあふれ出てくる

幸「・・・・油?」

それは油だった、檀を流れ、三成のところへもたどり着く

信「此処で、出番、ぞ」

蘭「お持ちしました!!」

現れる信長と蘭丸の姿

三「は?」

幸「え?」

蘭丸が持っていたのは、松明だった

信「油に火を注げ…」

蘭丸がその油に火を放つと、勢いよく燃え上がる

三「ちょっと待て!」

火をつける為だけに出てきたのか、信長と蘭丸は出てきた場所より消えていく
入るとまた、ばこんと其処は閉まった

幸「か、兼続殿ー!!」

火は油を伝わり、ぱちぱちと勢いよく燃え上がる

三「幸村、待て!!」

幸「しかし、兼続殿が!!」

綾「…仕方ありませんね」

三・幸「!?」

振り返ればいつの間に居たのか解らない綾御前と謙信の姿

綾「…謙信」

謙「はっ、姉上!ふんッ!!」

謙信は刀より巨大な衝撃派を発生させ、炎を消した

綾「これくらいの炎も消すことすら出来ずに、うちの兼続を嫁に貰おうとは・・・」

三「くっ」

幸「真田幸村、一生の不覚・・・」

綾「行きますよ、謙信」

謙「はっ、姉上」

政「待て!此処でわしらの出番じゃ!良いか、孫市。先程のようなことにはならぬ!!」

孫「はいよー」

ばっと謙信たちの前に立ち塞がる政宗と孫市

政「孫市は二人を引き止めよ、わしは」

孫「政宗は?」

政「兼続の処へ向かう」

孫「おいおい、それはないんじゃ・・・・どわーーーー!!」

綾御前と謙信が孫市に襲い掛かる

政「孫市、貴様のことは忘れない」

孫「おいっ、政・・・ちょ、まさ・・・・あーーー」

孫市、脱落

綾「あとはあの山犬を倒すのですよ、謙信」

謙「はい、姉上」

どどどどどどどど

政「くっ、もう追いついて・・・貴様らもあやつらを止めよ!」

三「貴様の命令を聞く義理はない」

幸「兼続殿ー!!」

だだだだだだだ

残り一段

政「兼続は渡さぬわ!」

三「俺も渡す気はない!!」

幸「兼続殿ぉぉぉおおおー!!」

綾「謙信」

謙「はっ、姉上」

その五人の横を通り過ぎる、黒い影
一段、一段難なく乗り越える松風に乗る慶次の姿だった

幸「慶次殿!?」

三「貴様が出るには、今更過ぎるだろっ!」

慶「いやぁ、すっかり盛り上がっているとこ悪いねえ。何でか知らねえけど、目が覚めたら鎖で縛られてたもんで、今になっちまったわけよ」

三「幸村!(頑丈に縛っておけと言ったのに)」

幸「三成殿!(私は頑丈に縛りましたよ)」

目と目の会話

慶「兼続、今助けてやるぜ!よっと!」

松風から飛び降りると、二叉矛で檀を突いた
どごーんと大きな音と共に、雛壇は崩れた
ばらばらと檀に乗っていた人物は地面へと落とされた
他の檀の脱落した人物も
勿論、兼続も

慶次は、その兼続の腕を掴むと抱き上げ、地面へと着地した
松風もその横に着地する

兼「ん・・・・んん」

慶「起きたかい?兼続・・・」

兼「慶・・・次?」

三「いたたた・・・はっ、目を見るな!兼続!!」

叫ぶが遅い
兼続はしっかりと慶次の目を見てしまった

政「何があるのじゃ?」

三「一番初めに見た者に惚れる薬を飲まされているのだ」

政「何をしておる!!それでは兼続が前田慶次に惚れてしまうではないかっ!!」

三「俺が飲ませたわけではないっ!!」

幸「兼続殿ォォーーーー!!」

目の前では慶次と兼続がすっかりと二人の世界を作っている

兼「慶次・・・私は・・・・何を・・・。そして、この格好は・・・白無垢?」

慶「あんたは、白が似合ってるねえ」

兼「そうだろうか・・・。でも、慶次がそう言ってくれるのなら・・・」

あまりにも幸せすぎる二人の姿

政「終わりじゃ・・・全ては終わりじゃ・・・・」

幸「兼続殿を殺して、私も死にます!」

三「早まるな!!」

慌てる三人
その後ろにすぅっと立つ、一人の女性

綾「兼続・・・」

その声に兼続の身体がびくんと震えた

兼「ご、御前・・・・」

綾「嫁入り前なのにも関わらず、その様な格好をして・・・恥ずかしいとは思いませんか?」

慶次から降りると、綾御前の前に駆け寄り座る

兼「わ、私は・・・」

綾「言い訳は結構」

ぐりっと踏まれる兼続

謙「姉上・・・・」

綾「謙信。兼続を甘やかしてはなりません」

それを見ている他の面々

政「おかしくはないか?惚れ薬で慶次に惚れたとは思えぬが」

三「確かに・・・」

左「前田さんの目の中の自分を見てしまったんじゃないですかね?」

三「左近!貴様!!どの顔して、俺の前に」

左「こんな顔です」

どやっ

三「目障りなのだよ!!」

ばしっ!

氏「おいおい、おまえがちんたらしてるから、間に合わなかったじゃねーか。このド阿呆」

甲「お館様、一人で来れば良かったじゃないですかー!!それに、幸村様が好きな男になんて興味ないですよー(ぼそ)」

氏「男だったら、争奪戦だろ?」

甲「私、男じゃありません。それに、男が男を争奪戦して何が楽しいんですか?」

氏「他人から奪うからこそ、楽しいってもんだ」

遠く離れた場所で、遅れに遅れた氏康と甲斐姫はぼんやりと左近が鉄扇でしばかれる姿を見た

第一回、兼続争奪戦は綾御前の勝利で幕を閉じた

幸「男雛争奪戦ではなかったのでは?」

三「そうだったか?」










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テーマ「人外ファンタジー」
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