これも愛の形


「孫市!」

兼続を訪ねてきた者がいると家臣に言われ、その者が案内された部屋へと行けば孫市が縁側に座っていた。
兼続の声に振り返ると、よっ、と手を上げ挨拶する。

「どうした。上杉に仕官する気にでもなったか?」

すっと着物の前を揃え、孫市の前に座る。

「いいや?あんたを抱きに来ただけだよ」
「…正直な男だな」

一瞬、呆気にとられた顔をするがすぐさま、くすっと兼続は笑った。



「っ……、火縄銃づくりに長けた職人を知りたいのだが……教えてはくれぬか?…ふっ…」

背後から責められ、揺さぶられながらも兼続はそう問いた。

「上杉のとこじゃ、色仕掛けで物事を訪ねるのか?」

最後の語尾で身体を激しく打ちつけた。
あぁっと兼続の身体が崩れる。

「…個人的に…っ…はっ、…あっ…知りたいだけだ…」

顔だけを振り返らせ、孫市を見つめた。
上杉に非はないと目で訴えた。
手をふるふると振ると、解った解った、と繰り返した。

「そうと、あんたの身体は何でこうも厭らしいのかね」

己のが出入りしている其処を見つめた。
兼続は艶かしく喘ぎながら、知らぬと言う。

(今までの男がそうさせて来たか…)

そう思うと、何処かもやっとした。
結構、嫉妬深いところもあるのかと思いながら、兼続の身体を激しく突いた。



「孫市。やはり、上杉に仕官するつもりはないか?」

事が終わり、着衣を直しつつ、兼続はそう言った。
返事の代わりに肩をすくめた。

「1日で二度も断られるとはな」

するりと孫市の身体の中へと入ると、頬に触れた。
孫市は兼続に口付けた。舌を絡ませ、離す。
はぁ、と兼続が吐息を吐いた。

「これでも愛してるのよ?」

両手を大きく広げ、わざと滑稽な仕草を見せた。

「上杉に仕えるというなら、私も愛そう」

にやっと、不敵な笑みを浮かべる。

「そりゃあ、ないぜ!俺の身体だけが目当て?」
「いや、腕だけが目当てだ」
「あんたもなかなか、悪い男だねぇ」

また口付ける。

「そうかもな」

コツンと額に額を合わせると、笑った。








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後記

今までで一番、孫市と兼続!って感じの話のような気がします。
現代版だと、とてもラブラブになってしまいます。







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