眠れぬ夜


月明かりに照らされた、天井をぼんやりと兼続は見つめた。
天井は奇妙な模様が出来ている。

「眠れぬ…」

ぽつりとそう呟いた。

近頃、慶次と共に宵を明かしていた。
焦がれるように抱かれ、そして包み込むように抱き締められ眠っていた。
其れが今宵は独り。

慶次の熱に慣れてしまった身体は切なく、触れてもいないのに下肢の間が疼いた。
布団が熱で温まれば、その熱でさえも快感を生み、より切なくさせる。

「…慶次が悪いのだぞ」

吐息混じりにそう啼いて、下帯をそろりと剥いだ。
其処は異様に温かく、慶次を求めているのだと知る。きゅっと両手で包み込むと、ぴくりぴくりと反応を示した。
ゆっくりと、先から根へ、根から先へと手で擦った。

目を瞑り、思い出す。
慶次を、慶次の声を、慶次の髪を、慶次の身体を、慶次の熱を。

「はぁ、はっ、っ、はっ」

やはり何処か物足りず、指を濡らすとそろりと後孔へと伸ばした。
其処を触れれば、物足りげにひくひくと震える。

「やはり慶次が良いのか?」

だが、慶次は今宵戻らないのだよと言い聞かせるように語り、其処に己の指を埋めた。
奥の襞の間の窪みを指先で突く。物足りぬが、快感は生む。
其処を自ら責めながら、ものの先端の膨れた部分を激しく擦った。

「はぁ…は、…はぁ…けいじ…」

思わず名を呼んでしまった驚愕と共に、兼続は達してしまった。
はぁっ、はぁっ、と荒く呼吸を繰り返しながら、指を抜いた。

手に出した白濁の液体を指で擦りながら、兼続は其れを見つめた。
手首を伝うのを見た後にぱたりと、手を布団へ落とした。

障子へと目をやれば、今にでも慶次が来てくれるのではないかと思ったが、そんな気配は一向にない。

「こんなにも寂しいとはな…」

また独り呟くと、兼続は眸を閉じた。








「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -