学園モノ
兼続:3年
三成:3年
幸村:1年
左近:何かの先生
三「兼続、今年はどれ位貰った?」
両手にぶら下げた紙袋には、大量の中身はチョコレートだろう箱が詰まっている
兼「今年は一つも貰っていない」
三「何故だ!!兼続だけが俺に唯一、対抗出来る相手ではないか!」
男子校なのに、かなり貰っているというところにはツッコミ不要である
兼「愛を勝負事に用いてはならないぞ、三成。今年は一人からしか貰いたくないと断った。愛を断るのは苦しいが、やはり私は愛する一人の者から貰いたい」
三「お前の瞳は恋してるそれだ…」
兼「からかうな…それより、お前はどうした?左近先生にはあげたのか?」
三「何故、そこに毛が!?」
兼「毛って…好きなのだろう?」
三「あんな毛深い男、好きではないのだよ!」
兼「(好きなくせに、随分とひねくれた愛し方だな)」
そんな様子を見ていた幸村
幸「・・・どうしよう、これ。生まれて初めて手作りというものに挑戦したけど…」
上手く包めなかったのか、くしゃっとなってしまった紙に包まれた箱を持っている幸村
幸「愛する人がいらっしゃるのか・・・」
あからさまにしゅんとする
兼「幸村?」
幸「わ、兼続先輩!!」
手に持っていた包み紙をさっと後ろに退かせる
幸「先輩は…誰から貰うつもりなのでしょうか?」
持っていた箱をぎゅっと握った
兼「聞いていたのか?」
幸「すみません…立ち聞きするつもりは無かったのですが…」
兼「幸村は誰かから貰ったか?」
幸「いえ、私は好きな方からしか貰わないと決めているので…」
兼「・・・・そうか」
幸「・・・・・・・」
兼「・・・・・・」
幸「・・・・(か、会話が…何か話さないと)」
兼「・・・・・・・・・(幸村の顔が赤くなっていってる?)」
幸「わ、私は兼続先輩からなら、戴きたいです!!」
兼「え?」
幸「う、受け取っては貰えないと思いますがっ!!初めて作りました!!」
さっと、後ろに隠していた箱を差し出す幸村
幸「(話がおかしい・・・私は何を言ってるのか・・・)」
不器用に包まれた箱にそっと手を伸ばす兼続
兼「…幸村が初めて作ったのか?私の為に?」
幸「は、はい!上手く出来なかったので、恥ずかしいのですが・・・はっ、やっぱり捨ててください!こんなもの!!失礼ですよね、初めて作ったものを差し上げるなんて!すみません!!」
幸村が箱をしまう前に兼続がそれを奪うように受け取る
兼「私のも良かったら、貰ってくれないだろうか?」
胸元から、綺麗にラッピングされた箱を幸村に渡す
兼「好きな相手を想いながら、作ったのだ」
幸「て、手作りですか!?(私のはなんて恥ずかしいのだ)や、やっぱり返してください!!」
兼「駄目だ!貰ったものは返せない。折角、好きな相手から貰えて嬉しいのに…返すなんて…」
きゅっと箱を握る兼続
幸「・・・・(可愛過ぎる)はい・・・・では、貰ってやってください」
兼「うん、ありがとう」
幸「私こそ、ありがとうございます」
くの「幸村様。これ・・・・味見してから渡しました?」
顔が緩みっぱなしの幸村に呆れながら訊ねるくのいち
幸「いや?してないが、どうした?」
くの「(壊滅的に不味いのだけど、大丈夫かなぁ・・・・)」
幸「先日のチョコレート、凄く美味しかったです!!」
兼「う、あぁ。そうか・・・・」
さっと目を逸らしがちな兼続
幸「私のはどうでしたか?自信無いのですが・・・」
兼「う、うん。オイシカッタゾ(慶次が間違えて食べてしまったとは言えない・・・すまない・・・すまない幸村。不義な私を許してくれ!!)」
幸「安心しました!くのいちに不味いと言われたもんで不安で、不安で・・・・」
兼「・・・・・(慶次が腹を壊してしまっているのって・・・・)」
幸「(はっ、今気付いたけど、先輩と両想いってことになるのか、どうしよう!)」
兼「・・・・(まず、料理から教えねばな・・・)」
じっと見つめあい、笑う二人。
想う心はバラバラであった。
終