解ったという返事の代わりに口付けて、兼続を蒲団へと横たわらせた。
白い肌を確かめるように撫でる。
ぷっと腫れた胸の突起を指で摘んだ。そこを優しく指の腹で擦った。
「…はっ…っ、」
敏感に成りすぎている兼続の身体は、びくりびくりと震えた。どれほどの敏感さかというと、慶次の髪が肌に触れただけで震えるほど。
胸の其処へも口付けると、舌で愛撫した。周りをくるくると撫で、突起を甘く吸う。
「あ、…あ、」
吐息が零れる。
慶次は兼続が感じているのが解ると、覆い被さるように兼続の身体に乗った。
己の下半身の陰茎を兼続のと重ね、それらを擦り合わせる。
「ん……っ、あ、はぁ・・・あっ−」
慶次が腰を動かせば、互いのが刺激され快感を生む。その行為に兼続は大きく喘いだ。
「け、いじ…」
快感が涙になる。
兼続の快感を感じながら、手で二人の物を掴むと、擦り合う刺激の他に手での刺激を加えた。
「はっ、ふ、…ふぅ…慶…次、…っ」
途方もない愉悦が身を包んだ。びくんと大きく身体を震わせ、何時も以上に早く兼続は達した。
先ほどより少ない量の精液が、慶次の手の中で溢れた。
慶次は兼続が達したのが解ると、己のだけを手で扱く。数回擦り、ふっ、と小さく息を吐くと達した。
ごぷっと先端から精液が流れ、兼続の身体を濡らす。打ち零れたそれは熱く、兼続の肌を火照らせる。
慶次は、それを己の陰茎に絡むめるように、腹の皮膚の上で擦った。
陰茎が粘着質なもので白く覆われる。手で擦る度に卑猥な音となり、聞こえた。
「兼続、腹這いになってくれないか?」
兼続はこくんと頷くと慶次に背を向け、腹這いになった。腹と己の陰茎から零れた精液が蒲団を濡らす。
それは既にひんやり冷たい。
「本当はさ、顔見ながらしたいが…これが一番楽だろうからな」
慶次は兼続の二つの膨らみの間に、未だ哮っているそれを宛がう。
ほんの僅かに触れただけで、固さと熱さに兼続の身は震え、強張った。だが、戸惑っているはずなのに、身体は慶次を欲しがり燻っていた。まるで火種。それは徐々に熱くなっていく。
「入れるよ…」
慶次は兼続の手に上から手を重ねた。不安そうに兼続はその手を掴んだ。
ぐっと腰を押し付けた。
精液でぬめったそれは、陰部をぎちぎちと押し広げながら入ってくる。熱い。中から灼かれているようだった。
「あ、あっ、あ−…、あぁ」
道具とは違う甘ったるい衝撃に、身体が震えて仕方なかった。
先端の赤く膨れた部分は中へと易々と入り込んだ。問題はこれから。慶次のは長い上に根にいくほど太い。しかも固かった。まさに山のようであった。
「ふっ、ぁ…あ、あ」
兼続の様子を見ながら陰茎をゆっくりと入れていく。
兼続は、中より感じる異物感にはそれなりに慣れたと思ったが、そんなことはなかった。慶次のが中へと入ってくる度、臓器がぐ、ぐっと押されているような感覚が襲う。非道い異物感が拭い去れない。
「……どの、くらい?」
「半分…」
これで半分…兼続は眩暈を感じた。
痛みはそれ程なかったが、苦しかった。そして襞を抉る感覚に、身を捩りたくなる。
きゅっと慶次の指先を掴んだ。
半分ほど入った所で、慶次が腰を上下に揺らし始めた。
ずっ、ずっ、と粘着質な音と共に何とも言い難い感覚が波のように込み上げた。暫くし、それは快感なのだと気付く。
後孔を陰茎で責められ、快感を感じていた。
「あっ、あ、っ、ぁ…、」
襞が固く熱いもので擦られる度に、ぱちんぱちんと小さな火花のようなものが爆ぜた。
段々とそれが強くなる。
「いい…け、けいじ…いぃ…っ、あっ、あ」
快感の言葉が口を衝いて出た。兼続は、己がそこまで善がっているとは思わなかった。
そして、腰が慶次の動きに合わせて動く。
それらは、殆ど無意識の中。
身悶える兼続に中の怒張が増す。
己の物で感じている兼続に愛しさが強くなった。乱暴に抱いてしまいたい衝動に駆られる。
「善過ぎて、俺まで我を忘れてしまいそうだねえ…」
腰の動きを止めると、慶次はふぅと溜息を吐いた。
中の熱さ、襞の感触、己のを放したくないと締め付ける其処は、今まで抱いた誰よりも良かった。
「い…ぃ…い、いのか?わたしの、なかは…」
兼続は、涙で濡れた顔を慶次の方へと向けた。
「あぁ、いいよ。あんたの身体、最高だ」
そう言って、乱れた髪を指で梳き整えてやった。背に口付ける。そして、また動く。執拗に責めた。
「あ、あっ、あぁ、あ」
芯がじんじんと痺れた。鋭い快感が、身体を走り回る。どうにかなってしまいそうだった。
意識が何度も飛びそうになる。
「そろそろ、抜こうか?」
慶次は聞いた。
兼続は今にも落ちそうになっている。意識を保つのがやっとという感じだった。
口から零れる唾液さえ拭おうとしない。
僅かに兼続が首を振る。
全て入れて欲しいと望んでいた。
「あんたを壊したくないんだけどねえ」
言葉に兼続はふるふると首を振った。
んーと返事をすると、慶次は激しく腰を振った。
「はっ、っ、はっ、んっ」
兼続は息も絶え絶えで、満足に呼吸することも儘ならない。声も掠れていた。
数回擦られた後、慶次の身体がぶるりと震えた。
兼続の身体の奥深く、迸ったものが出されたのが解った。どくどくと、兼続の中の其れが痙攣する。かと思えば、ぐっと中が押し開かれたような感覚があった。背が慶次の逞しい胸板の感触を伝えた。慶次の肌の熱を感じるほど距離が縮まった。
慶次は、一気に昂りを兼続の中へと押し貫いたのだった。
「あぁああっ!!」
兼続が嬌声を上げた。
ごぷっという音と共に慶次の陰茎との間から白濁の液体が流れ落ちた。赤い血が混じっている。
根まで挿入されたと同時に感覚に兼続は達した。
「あー、あっ、あ・・・・・っ」
既に精液は出なくなり、絶頂感だけが兼続を襲う。涙が溢れては頬を伝う。今まで感じたことのない快楽。目の前が真っ白になった。
慶次の手を強く握り、意識を失ってしまうのを拒んだ。
「大丈夫かい?」
慶次は兼続の首筋に口付けを落とす。
白く滑らかな肌は快感で色づき、赤らんでいる。
「…っ…ふま…れるのと…あ、あー……っちがう…痛…みが…っ」
(踏まれる?)
兼続が何のことを言っているかは解らなかったが、強い痛みがあることだけは解った。ぎゅっとそこが締まった。
荒く呼吸をしているので、身体が揺れた。揺れる度に血が精液と混じり、後孔から零れてくる。
蒲団にじわりじわりと滲んだ。
「ん、あ、…あぁ、あっ」
精液で大分痛みは緩和されたのかも知れないが、無理やり広げられたそこは非道く痛んだ。だが、それ以上の感動が兼続を包んだ。
「なか…なかに…」
そろっと手を伸ばしてみると、慶次のが全て入っているのが解る。根元までしっかりと中に入っていた。
「けいじの…が、わたし…の…」
慶次を受け入れられた事に安堵すると、兼続の意識はふっと途切れた。
そのまま、倒れこんだ。
「無理させちまったなぁ、兼続」
ずっと、陰茎を抜くとそれには精液とうっすら血の膜が出来ていた。求められたとはいえ、まだ早すぎたと反省した。
兼続を抱き上げると、涙と唾液だらけの顔を拭う。再び乱れてしまった髪を梳き、精液だらけの身体も拭いた。
着物をきちんと着せると、蒲団に寝かせた。
己の身体も拭くと、衣服を着込み兼続の横へと転がった。
じっと兼続の顔を見つめる。
穢れをしらなかった清らかな兼続を、今更ながら穢してしまった気分になった。頭痛がし始める。
(バレちまったら、殺されるだろうな…)
誰にとは言わなかったが、とある人物達が脳裏に浮かんでは消えた。
慶次はふぅと溜息を吐く。
「まぁ、それも仕方ないか…」
そう呟いて、愛しそうに兼続を頬を指先で撫でた。
終