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  こわれた鈴は鳴らない0


【パロディご注意+軽い状況説明+メニュー】

 背景は、バルバッド王国が反政府軍の蜂起で滅びてしまった世界。

 とりあえず煌帝国がバルバッド王国を滅ぼした訳じゃないって設定にしとく。
 アリババ君は王族として、都市国家カシュガンに亡命しています。出てこないけどアラジンはカシュガン出身の魔法使いで、ユナンさんみたく世界を転々と旅していると良い。アラジンに導かれてカシュガンなう。なアリババ君だといい。

  何も知らずアリババ君と仲良くなったけれど、後で複雑な出自を知って白龍君が戸惑っていると良し。一緒に勉学や武術に励む内に、(行く宛てがないなら、一緒に煌帝国に行ってくれないかな――)って白龍君が思っているとさらに良し。とりあえず煌帝国を白龍君が恨んでいない設定で行こうかと思う。でも、顔に火傷は相変わらずあります。

 大体こんな感じです。
 あんまり暗い所が過去になさそうな白龍君を書いてみたかったんです。
 ただ、何故か暗い部分はアリババ君に移動しました。不憫具合と影具合が増しています。

 これでオッケーそうだったら次のページからお読みください。何でも大丈夫な人向けだと思います。
 ちなみにエア新刊ネタの続きの話ではなく、スタートからの話です。
 あと、作品は続きものだけれど、それぞれ単体でも楽しめるようになっています。今の所。






【元ネタ】
  近年、バルバッドの北限に位置する都市カシュガンに一通の脅迫状が届いていた。
  送り主は隣接するレーム帝国の属国からだった。その国は、またの名をファナリス都市国家と呼ばれている。暗黒大陸で最強と名高いファナリスが集まり、作った国家だ。レーム帝国の属国として大人しかった筈のその国が、脅迫文をカシュガン政府に送りつけてきたのはちょうど一週間前だった。

「待って下さい、アリババ殿! こんなこと間違っています!!」
「悪いな、白龍……。でも、決めたんだ。俺のことなら気にするなよ。お前は、お前の信じた道を行けばいい」

 脅迫文の内容はいたってシンプルだった。

『カシュガンに滞在している元バルバッド王国第三皇子アリババ・サルージャの身柄を引き渡せ。さもなくば、カシュガンにレーム帝国の名を持って宣戦布告する』

 そこそこの防衛機能しか備えていないカシュガン政府は、突然の宣戦布告に戦慄した。こんな横暴な外交はあってはならない。けれども、政府にはそれを退けるほどの軍事力も外交力もなかった。当然のように、カシュガンの政治体系を学びに来ていたアリババにもその話が聞こえてくる。
  アリババがカシュガンに身を寄せたのと同時期に煌帝国から留学生として来ていた練白龍。彼とアリババは友人だった。同じように政治や外交を学び、学業の後は武芸の鍛錬を共に行い、励みあっていた仲だった。その友人が、目の前で政治の道具として使われようとしているのを、黙って見ていることなど白龍にはできなかった。

「いくらカシュガンに恩義があるとしても、あなたが行くことはありません! 政府がそれをあなたに強要するようでは、国家犯罪と言っても過言ではない! もし亡命の意思があるなら、我が国にっ!」
「白龍」

 アリババは首を横に振った。

「お前の気持ちはありがたいんだけどよ。王政を廃止した時に、王族の俺は処刑されそうになっていたんだ。それを助けてくれたのが、カシュガンから来たアラジンって奴だったんだよ。だから、俺も、俺ができることで助けられるなら助けたいんだ。あいつの国を、さ」
「アリババ殿っ!!!」
「ついてくるな!」

 手が離れる。行ってしまう。

「頼む……。追いかけないでくれ」

 背中が震えたように見えた。政府の要人に連れられて、彼が会議室から去っていく。ゆっくりと、扉が閉まるのを震える手で白龍は見ていた。



――このまま諦めるなんてできるか! 例え自分一人だとしても、アリババ殿を助けたい。いや、助けてみせる!

 茫然としそうになる自分を叱咤して、白龍もまた会議室を出た。自室に武器と、旅の用意をするために。
  国への報告は後回しにして、すぐに白龍もまたカシュガンを旅立つことになる。






「戦争か、要求を呑むか。おっ、どーやら要求を呑むことに決めたらしいな!」
「ジュダル!? どうして、お前がここに……っ」

 取引の場所に現れたのは、魔法のじゅうたんで現れた黒い魔法使いだった。
  その魔法使いをアリババは知っている。忘れようもない。
  アリババが住んでいたバルバッド王国の崩壊を進めた一派の一人だ。反抗する勢力に武器を密輸し、国内の紛争を激化させた一派の。

「まさかお前が手引きしたのか」
「しても良かったんだけどよ、あそこはババアの国だしな。俺の範疇外よ。今回のは、知り合いの頼みって奴だ」

 睨みつけるアリババに、じゅうたんに乗れとジュダルは促した。

「さっさと乗ってくんねえ? 別に俺はここにいる、お前以外の連中を殺してもいいんだぜ」
「やめろ! わかったから余計なことはするな」

 アリババを見送るカシュガン政府の文官達には一様に申し訳ないと顔に書いているようだった。それだけで、いくらかアリババの心は軽くなった。

――間違ったことは、してないよな。

 後ろを見ていれば、不意にジュダルに肩を掴まれた。

「何すんだよ」
「なぁ、これからお前どうなるんだろうなぁ?」

 不安を煽るようにジュダルはささやいた。

「今からでも遅くねえからさ、運命を恨めよ」

 そしたら、俺がお前を助けてやるからさ。
  このことを言われるのは、バルバッドの時を含め二度目だった。囁く声に、アリババは首を横に振った。






「じゃあよ、俺はもう帰るわ」

 用は済んだとばかりに、アリババはジュダルに部屋の中へと押しいれられて扉は閉まった。通された場所は、王の間だった。

「アリババさん!」

 通された王の間で、一番最初に駆け寄ってきた少女にアリババは目を瞬かせた。見知った顔だった。
  まだアリババが自身を王族だと知らなかった頃の、アリババが自分が王族だと知ることになった事件で関わった少女だ。正確には、その事件の中で、アリババが助けたファナリスの少女だった。

「モル、ジアナ?」

――どうゆうことだ? これは一体――?

 ただ広い謁見所とその奥に鎮座する空の玉座。この部屋にはアリババと、モルジアナしかいなかった。

「無事、だったんですね」
「あ、ああ。モルジアナも、あの混乱の中無事だったんだな。良かった。どうしていたんだ?」

 この場に不釣り合いなほどの会話だった。

「私はあの後、故郷へ戻って――。でも、故郷には誰もいなくて、それでファナリスが集まっているという都市を聞いてここに来たんです」
「そうだったのか。でも、どうして――」

 言葉を切って、一呼吸アリババはおいた。

「ここに?」

 その言葉にニッコリとモルジアナは笑った。

「私、ずっと探していたんです。あなたのことを」

 ゆっくりと、アリババは自分が連れてこられた意味を理解していた。

「どうしても、私とこの国を守ってもらいたくて」

 空の玉座と、一人でアリババを待っていたモルジアナ。それがどうゆう意味を持っているのか。
  茫然と、アリババは微笑むモルジアナを見ていた。

「私の伴侶になってもらいたくて。我が国の王に、あなたを迎えたくて」

 モルジアナの唇が、ゆっくりとアリババのそれに押し当てられた。

「好きです、アリババさん」



 時間が止まったように、アリババは言葉を紡げないでいた。



 外から響いてくる慌ただしい足音に、モルジアナは表情を厳しくした。本来なら静かに開けられるはずの扉が、けたたましく開けられる。

「女王陛下!!」
「何事ですか」
「場内に賊が! おそらく客人を狙っているものと思われます! 槍使いの手だれで衛兵では刃が立ちません」
「近衛騎士団がレーム帝国に赴いている間を狙われたみたいですね。わかりました。私が行きます」

――槍使い? まさか!?

 思い当たった人物に、アリババの心臓が嫌な音を立てた。

――あのバカ! 何の為に俺がここに来たっていうんだよ!!

 顔を上げた先で、モルジアナが部屋から飛び出していく。それを追うように、アリババも走っていった。




【次回予告】

 連れ去られたアリババを追ってきた白龍。彼はその先でファナリスの女王モルジアナと対峙する。

「アリババ殿を返して下さい」
「あの人を幸せにするのは私です」

 交わした言葉は平行線をたどり、やがて戦いが幕をあげる。
 果たして白龍はアリババを取り戻すことができるのか。
 その中、背後ではジュダルが不穏な動きを始め、残されたカシュガンの文官達は嘆いた――。

「頼むから国を通さないで、個人でやって下さい」

 次回、『カシュガン政府に舞い込むお見合い話』

 果たしてアリババの伴侶の座を射止めるのは誰になるのか!?

【後書き】

 エアと書かれているから察している方もいらっしゃるとは思いますが、2012年12月31日に、A5/20Pのマギの龍アリ、ジュダアリ、アリモルのパロディ小説本を発行しま、せ、ん、で、し、た!

 残念ながら、この話はここで終わりです。
 エア新刊と言えばなんでもできるって、書いてあったもんだから魔が差して、何も考えず勢いでこの話を書きあげました。次回予告も調子に乗りました。そもそも、ギャグで書いたはずなのにシリアスっぽくなってしまったので、次回予告でそのイメージを払しょくしようと頑張ってみました。

 背景は、バルバッド王国が反政府軍の蜂起で滅びてしまった世界。とりあえず煌帝国がバルバッド王国を滅ぼした訳じゃないって設定にしとく。
 アリババ君は王族として、都市国家カシュガンに亡命しています。出てこないけどアラジンはカシュガン出身の魔法使いで、ユナンさんみたく世界を転々と旅していると良い。
 何も知らずアリババ君と仲良くなったけれど、後で複雑な出自を知って白龍君が戸惑っていると良し。一緒に勉学や武術に励む内に、(行く宛てがないなら、一緒に煌帝国に行ってくれないかな――)って白龍君が思っているとさらに良し。とりあえず煌帝国を白龍君が恨んでいない設定で行こうかと思う。

 大体こんな感じで書いてました!



 たまには、アリババ君を助けに来るマジ皇子様! な白龍君も書いてみたいです。
 でも、この話の流れだと、何故か白龍君がモルさんに勝てる気がしません。(´・ω・`)
 モルさんに壁に叩きつけられて、苦しんでいる所にアリババ君が仲裁で駆けつけるシーンしか頭に浮かびません。

 超オトコマエなモルさんも書いてみたいです。
 闇オチとかじゃなくて、亡命したっていうアリババ君の身柄を心配しての行動だったら素敵だなーと思って、書いてました。アリババ君の為ならなんでも頑張っちゃいそうなモルさんが健気で可愛くて大好きです。
 ファナリス最強万歳w

 こんなかだと、ジュダルの立ち位置が一番不明で怪しいです。
 もし話が続くとしたら、どんなポジションをこなすのか私も想像できない。
 話を悪い方向に持って行って、アリババ君が堕転しないかな―って見ているといいと思う。
 ここぞという時に現れて、「ほら、運命を恨めよ」って言っているジュダル君はきっと良い笑顔をしていると思う。

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