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10/30(Fri):【ヤンデレ龍アリ】4

痛みと快楽にアリババが意識を失い、完全に何をしてもぴくりとも反応を返さなくなる。
耳に残る悲鳴の残響は充分にオルバ達を満たしていた。
死んでないかをかすれた呼吸から確認して、性器に埋めていた棒を抜き出す。ずるりと棒が抜けていく間もアリババの反応は返ってこない。棒を抜けば支えを失ったように性器はだらりと垂れ下がった。
窓から外を眺めれば夜になっていた。
もうこんな時間か。
そんな声がぽつりと漏れる。
アリババに凌辱を繰り返す時間は昼も夜も問わなかった。オルバ達が疲れ、食事を取りに行ったり、眠ったりする以外はその身体を苛み弄ぶことが、ここでのオルバ達に与えられた役割だった。
いつも時間はあっという間に過ぎる。何日目になるのか数えるのも億劫になるほどに、アリババの身体を気を失うまで酷使し、アリババが目を覚ましたらその身体を貪るの繰り返しだった。すぐにアリババが目を覚ますこともあれば、あまりにも眠りが長い時は起こして行為に及んだ。
そして、この数日間の経験から察するにアリババが目を覚ますのは当分先だと言うことはなんとなくオルバにはわかった。
アリババを寝台に横たえ直して、自分達は身を整える。そんな時だった。
音を立てて扉が開かれた。自分たち以外にこの部屋を訪れるとしたら一人しかいなかった。
「白龍さん、どうしたんですか?」
疑問にオルバは首をかしげた。いつもならば終わった後に報告に行くのに、直接この場所を訪ねてくるのは初めてだった。
「今回はこのくらいで終わりにしようと思ってな」
白龍はまっすぐに寝台に向かい横たわったアリババに視線を落とす。全身をくまなく凌辱され、白濁に汚れた身体を視姦して喉を鳴らした。膨れた腹部にも手を滑らせた。
「これは?」
「どこまで入るのか試してみようと思って」
上からも下からもよく美味しそうに呑みこんでいたと誰かが口にすると、白龍は口の端を吊り上げた。
今日はこれも使ってみたんですよ。そしたら、こいつすごく泣きわめいて。
ベッドの下に転がっている細い棒を手にしてその時のことを思い出したのかヨーンが笑っている。その様子を視界の端に捉えながら、白龍はアリババの口の端についていた白濁を指で拭った。
(哀れだな)
アリババだけでなく、この場にいる眷属達もが。自分達が乱暴を働いた相手を本当は慕っていると覚えているモノはここにはいない。
彼らがアリババに何をしてきたのかそれは逐一報告を受けて知っている。この部屋の様子も遠隔透視で白龍は眺めていた。その時のアリババの悲鳴も聞いていた。どうしてどうしてと繰り返される言葉も。
その答えはきっとこれから見られるのだろう。
「今回はこれでやめだ。アリババの身体を清めて寝台も片付けておけ」
その言葉と同時に白龍はベリアルの力を使った。
キンッと金属が鳴る様な音をオルバ達は聞いて頭を抑えてうずくまった。そのまま呻いて床に倒れる。
その様子を確認すると白龍はオルバ達の横を抜けて、部屋を出ていく。
音を立てて扉がしまった。
それはまるで世界の色が変わる様な変化だった。
赤が青に、緑が黄色に、目の前で変わる様な劇的な変化だった。頭の中を直接ひっかきまわされるような不快感に呻き、その痛みにオルバは地面を転がった。
その強烈な変化を耐えて、ゆっくりと顔を上げる。周りも同じだった。同じように頭を抱えながら、起きあがって――その視線の先に横たわっている人を目にして、オルバは指先から手が震えた。
「あ……あああああああああ」
記憶はしっかりと残っていた。自分達が何をしたのかも、どんな感情を持ってそのようなことをしたのかも、全部、それはオルバの中にあった。
ヒィッ!!!
後ろから悲鳴が上がってオルバは振り返った。そこではヨーンがその手にしていた棒を地面に投げ捨てて涙を溢れさせて震えていた。
どうして……
誰かが零した言葉だった。けれども、その言葉がオルバ達の記憶を呼び起こす。何度も何度もアリババが哀しそうに苦しそうに零した言葉を。
どうして、戻ってきた。と。
悲痛な叫びが耳にこびりついて離れない。
込み上げてきた吐き気に口元を抑えるが耐え切れずに嘔吐した。吐瀉物を床に吐き出して咳き込んだ。涙が滲む。
涙が滲むのは口残った胃液の苦い酸味のせいか、押し潰されそうな罪悪感からか。間違いなく後者だろう。
この場から逃げ出したいほどの罪悪感にがんじがらめにされて、誰も動けなかった。言葉も発する事もできずに固まっていた。
この実感も伴う記憶が全てベリアルの力による偽物の記憶ならどれだけいいか。けれども、疑いの余地などかけることもオルバ達には許されていなかった。
証人が用意されているのだ。オルバ達の行いを一部始終眺める事を強いられた証人が。オルバ達がその言葉を信じるのは当然といった、仲間の証人が。
ぎぃ……
扉が開く音がする。ゆっくりと、悲壮な空気を漂わせて部屋に足を踏み入れたのは、この数日間行動を共にしなかった、ビルギットだった。
……あたし達、どうして戻って来ちゃったんだろ。
扉を閉めたビルギットがその場で崩れ落ちて俯く。
どれだけ泣いていたのか、泣き腫らしたその目元は赤かった。
オルバ達を解放する時に白龍はオルバ達の解放の条件としてアリババが何を約束したかを聞いた。聞き過ごせるような代物じゃなかった。そして、その時に白龍はこうも言った。解放するのは一度だけだ。次はない。と。
自分達はうまくやれると思っていたのか。アリババを助けられると思っていたのか。
その結果がコレだ。以前よりも手酷い事態に今更のように取り返しのつかないことをしてしまったと心が悲鳴を上げている。
(でも、一番辛いのは俺達じゃない)
ゆっくりとオルバは立ちあがってふらつく足で寝台に向かった。
アリババは自分が犠牲になってもオルバ達を逃がそうと手を尽くした。オルバ達が逃げることがアリババの望みであり、この絶望的な状況で抱いたかすかな希望でもあった。
それを全部裏切ってしまった。裏切られて、身体を限界以上に嬲られて、アリババの心はずっと悲鳴を上げ続けていた。誰よりも苦しくて辛くて絶望に打ちのめされていたのはアリババだ。
「………とにかく……アリババさんを綺麗にしてあげないと……」
アリババは白濁で全身を汚されたままだった。犯された時の姿のまま。一糸まとわぬ姿で寝台に横たわり口元も胸元も腹上も白濁で汚れている。精液を注がれ続けた腹は孕んだように膨れ、脚の付け根には未だに木の玩具が埋め込まれ精液が流れ出るのを留めている。
(全部俺達がやったんだ……)
ぐっとオルバは唇を噛んで自らを叱咤する。
まんまとあの男の思惑に乗って、必死なアリババの努力を無駄にしたのは自分たち自身だ。
絶対に、ここで無為に嘆くだけではいけない。
そう思うものの、じわじわと指先が冷えるような感覚に、オルバは立ち止まりそうになる。
立ち止まってはいけない、そのことを理解しても、後悔が、罪悪感が、足を止めさせる。
大切な人を穢し傷付けたのは、操られていようが自分たち自身だ。
だからこそ、手を伸ばす事が恐ろしかったのである。
また、自らの手が、この人を貶めるのではないかと、その限りなくあり得る未来が恐ろしかったのだ。
震える手を何とか抑えながら、その体に触れた。
汚してしまった体に触れて、その温もりを確かめる。
その変わらない温かみに、涙を流しそうになりながらも、この身体を急いで清めなければとオルバは思考を巡らせた。
ともかく、この痛々しいまでに膨らんだ、腹をどうにかしないといけない。
細心の注意を払って、そろりと栓をしている木の玩具を掴んだ。
カタカタと震える指先に苛立ちを覚えながら、ゆっくりとそれを引き抜いてゆく。
こぽりと音を立てるような勢いで、それが零れ落ちる。
相当な量だったんだろう、多少零れた程度では目に見えて膨らみきった腹に変化は見えない。
操られていた時の自分たちの笑い声は耳に焼き付いている。
それに悲鳴を上げる、アリババの姿も、誰もがしっかり覚えていた。
これは、この膨らみきったアリババの腹は、オルバ達の罪の証そのものだった。
早く、綺麗にしないと、これで自分たちの罪が許される訳では無い事を分かっていたが、アリババの体の負担を考えると一刻も早く全て掻き出さなければいけない。
後ろに指を伸ばしかけて、先ほどよりも酷く震え出した指先を抑え込もうとするが、その手も震えている事に気が付いて、オルバは思わず頭を抱える。
自分がショックを受けて良い立場じゃないだろ。
しっかりしろ、一刻も早く綺麗にしてあげないといけないのにどうして。
どうして手が止まるんだ。
あたしが……。
ビルギットが震えながら呟いたのをオルバは静かに首を振った。
俺が、俺の手でやらないと。
そう言い聞かせるように呟いても、指先はがたがたと酷く震えた。
それでも、何とか、指先をそこに潜り込ませる。
掻き出す為には指を動かさなければいけないのに、全くもって指は思った通りに動かず、それでも無理矢理動かして掻き出し始めた。
涙を堪えながら、罪の証を掻きだしてゆく。
どろりとした感覚が指先に絡まった。
反対の手で、膨らみきった腹に力を掛ける。
ゆっくりと吐き出されてゆくそれを、必死に、何も考えずに考えないようにしながら無心で手を動かした。
どれほど時が経ったのか、オルバは覚えていない。
気が付けば、膨らみきっていた腹は見覚えのある程度に戻っていた。
シーツがドロドロと流れ出たそれで、汚れきっているのが視界の映る。
指を引き抜いて、手を離して、オルバは呆然としたように崩れ落ちた。
ぼたぼたと、堪え切れず、涙がとめどなく溢れてくる。
泣く資格などないと言う事を知っていた。
けれど、止まること無く雨のようにそれは降り注ぐ。
縋る様に視線を向けそうになって、オルバは目を閉じた。
腕で顔を覆って、涙を流す。
涙でも流さなければ、前に進めそうもなかった。
けれど、前に進んだからと言って、なんになるんだろうか。
大切な人を、自分の命とは比べものにならない位大切な人を、こんなにも傷つけてしまった。
そんなの、許されるはずがない。


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