(現代 会社員パロ)
「こんなのもできないんですか、部長サン?」
クソ部下から吐かれた最初の言葉だった。
部 下 と 上 司 は 相似比1:1
4月、新生活の始まる季節。俺の会社も例に漏れず、大勢の新入社員が入社してきた。その中でも一際目立っていたのが、冒頭でも述べたクソ部下である。いや、普段はちゃんと苗字、と呼んでいる。ただ、俺の携帯のアドレス帳に同じ答えを期待しても、それは否だ。携帯の中身くらい、表現の自由ってモンだろう。
「おいリヴァイ部長」
いつもこんな事言われちゃあ、流石の俺もぶちギレるに値するだろう(ハンジ曰く、俺はいつでもぶちギレているらしいが)。
「聞いてんですかクソ上司」
上司に向かってクソだのと吐き捨てる部下なんぞ、生まれてこの方初めてだ。だがしかしコイツ、仕事に関しては会社始まって以来のエリートだ。この前もどっかの会社の社長と契約までこぎつけた。信じられるか、入社してまだ数ヶ月の新人がだぞ。 社長もそんな新人よく使ったモンだ。あの社長の視界には受付嬢しか見えてねえのか。改めて中間管理職の不憫さを嘆く。
そこまで思考を巡らせて僅かに苛々していたら、突如頭に衝撃が走った。 何か重いものが、徐にズシンと当たったような。
「さっきから呼んでんすけど」 「…すまねえな、気付かなかった」 「そっすか〜。じゃ、リヴァイ部長、今日は私が代わりにやっとくんで先に上がって下さいよ」 「てめえナメてんのか?」 「早く耳鼻科行ってもらわないと、私が困りますんで。一日に三回も部長の名前呼びたくないんで」
俺の頭に大量の資料を乗せて、どや顔をしているのは先程から話題に上がっている噂のクソ部下だった。 少しでも優しさを期待した俺が馬鹿だった。やはりコイツはこういう奴なのだ。
「ほう…それじゃあお前も一緒にどうだ?いい加減上司の指示も聞けるようになって貰わねえとな」 「…へぇ、じゃあついでに脳外科にも付き合ってくれませんか?」 「ああ、構わねェ。その沸いた頭治療しに行くんだろう?」 「ま、そんなところですけど…」
何だかアンタ見てると、ムラムラするんですよね。何かこう、虐めて泣かせてやるのもいいし、ドロッドロに甘やかしてやるのもいいかな〜的な?ついに私も本気で頭沸いたみたいです。
俺のアドレス帳に登録してあったクソ部下が、苗字名前に変わったのはそれから3ヶ月程後の話。
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