久しぶりに見かけたその顔に思わず頬が緩んだ。凛とした空気を纏うその人はあいかわらずで、遠くにいてもすぐに分かる。私がずっと会いたかった人。

「エーレーン!」
「っうわ!」

駆け出して、ぎゅうっとその体の抱き締める。思いきり飛び込んでも、きっちり受け止めてくれる逞しい腕。全部が全部、格好良い。

「名前?」
「うん!久しぶり!」
「本当、久しぶりだな!元気にしてたか?」
「んー、エレンに会えなくて寂しかった」

そう言って抱き締める腕に力を込めると、エレンの耳が赤くなっていく。

「お、お前、近すぎ!」
「だって、エレンに会いたかったから」
「…悪いな、なかなか会えなくて」
「ううん、仕方ないのはわかってるよ」

そうは言ったものの、本当はもっと、毎日でも会って、エレンに触れていたい。我慢すると決めたけど、寂しくて仕方ないとき、不安で仕方ないときのほうが多かった。

「名前、こっち向け」
「ん?」

顔を上げたと同時に、たくさんのキスが降り注ぐ。エレンからの好きが、唇の熱を通して私の胸まで染み込んでくる。

「名前、」
「?どうしたの?」

突然キスが止んで、名残りおしいけどそっと離れる。エレンが何か言いたそうに視線を泳がせた。

「なんつーか、その、」
「?」
「…俺も、ずっと寂しくて、名前に触れたかった、だから、」

エレンが丁寧に紡いでいく言葉の一つ一つがなんて優しくて温かくて愛おしいんだろう。

「だから、止められなかったら……、ごめん」

そして私は、また、その熱を享受する。





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