「―――――ひっ…あ、」




胎内が焼けるみたいに熱く、入口は無理矢理に押し広げられて限界を訴える。




彼と繋がってる部分は痛みに悲鳴を上げているのに、脳はそれさえも快楽の刺激と捉えて、全身を痺れさせた。




「あっ…ん、くうっ、」




内臓ごと揺さぶるみたいに突き上げられて、若干吐き気が込み上げてくる。




頭の中は段々真っ白に染まっていき、絶頂の波が迫ってきた。




「っふ、あ、やあっ…あん、ひ…も、イクっ…!」




「―――――っ、フロラ、」




「ひ、ああぁあぁっ、」




――――――…




「…い、たいよぅ、」




一通り事が終わった後、いつもみたいに膣口がひりひりじんじんして、裂けちゃったんじゃないかと心配になる。
(毎回それは杞憂に終わるのだけれど)




腰やら肩やら節々も痛くて、寝返りすらろくにうてない始末。




「…痛いか、」




いつもの仏頂面に少しだけ申し訳なさ気な雰囲気を湛えて、マスルールがわたしの顔を覗き込んだ。




「…ん、でも平気…」




別に彼が乱暴なわけじゃない。わたしは他の男を知らないけれど、マスルールはとても丁寧に優しく抱いてくれている、と思う。




でも彼とわたしには、絶対的な埋めようのない差があるのだ。




「…悪い、いつも無理させて…」




「謝らないでよ、マスルールが悪いわけじゃないでしょ。」




「…………………」




「仕方ないよ、マスルールは大きいから。…それに、わたしが小さすぎるのもいけないんだし。」




そう、それは圧倒的な体格差。マスルールはファナリスで常人より体が大きいし、それを差し引いても、わたしが標準より小さめなのだ。




普通より大きなマスルールと、普通より小さいわたし。まるで大人と子供が行為に及んでいるみたいで、ただでさえ女にかかる負担が、二倍にも三倍にもなってわたしを襲う。




「…フロラ、」




「ん…?」




「お前に負担がかかるなら…俺は別に、ヤれなくてもいい。」




「…マスルール…」




「体が目当てで付き合ってるんじゃないから…お前を苦しめるだけなら、やめる。」




ふわ、と胸のあたりがあたたかくなった。




この人はぶっきらぼうに見えるけど、すごくわたしを大切にしてくれているんだ、ってわかる。




「…マスルール、」




未だにみしりと音がしそうなほど痛む体を無理矢理に動かして、彼の髪をそっと撫でる。




「無理なんかしてないよ。たしかにちょっと苦しいけど…マスルールとするの、好きだから。」




最大の愛情表現であり、愛を最も感じられる行為が、苦しいだけなはずない。




たしかに体はツラいこともある、けれど決して気持ちよくないわけじゃないし、終わった後心は幸せで満たされる。




「痛いだけや苦しいだけなら、とっくに嫌がってるよ。幸せなの、マスルールに抱かれるの。」




「…フロラ、」




マスルールの体がわたしに覆い被さる。やっぱり大きくて、簡単にわたしなんか包み込まれてしまった。




「…愛してる、」




整った顔が降りてきて、そっと唇が重なった。




「…ん、」




見た目はアンバランスなわたしとマスルールだけど、そんなこともうどうでもいい。一番大切なのは、相手を想う気持ちなんだ。




「あ…っ、」




いつか行為の苦しみがなくなるまで、願わくはそれから先もずっと彼といられたら、って、再び快楽に溺れる頭の隅っこで考えていた。













Title by:空想アリア

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