ヤンデレ崎×椿(R/閲覧注意)


大切にしたい、という気持ちに偽りはない。





練習後、シャワーを終えて外へ出ると椿がいた。声をかけようとしたところで立ち止まる。椿の影で見えなかったが世良さんもいた。ふたりで何か話をしているようだ。内容はよくわからないけれど、世良さんがバカみたいに明るい声をあげて笑い、椿もつられたように笑い声をあげる。

あまり見ない光景だ。
世良さんはいつものことだけど、椿があんな風に笑うなんて。

俺の前ではあいつは、にこりと穏やかに笑うか、少し困ったように眉を下げて笑うかのどっちかで。あんな、子供みたいな笑い方はしない。


くらり、と足許が揺れた気がした。目の前が黒く塗り潰される。
そいつは、椿は。―――俺だけのものだ。





「ザキさん!」

こっちに気付いた椿が走ってくる。世良さんは俺たちに向かって手を振るとどこかへ行ってしまった。走り寄ってきた椿は俺の目の前に来ると、いつもみたいににこりと笑った。

「お疲れ様っす、ザキさん」
「…おう」

笑みの形のまま椿はちょっと首を傾げてみせた。何か言いたそうな椿から視線を外して自分のロッカーへ足を向ける。少し戸惑っていた椿だけど、こっちに向かってきたのが視界の隅に映った。内心で舌打ちをする。避けてるのがわかんねえのかよ。

「ザキさん?」
「…」
「どうしたんすか?調子が良くないとか…?」
「別に」
「でも…」
「っ、うるせぇよ、大丈夫だっつってんだろ!」
「―――!」

椿がビクリと肩を震わせた。眉が下がり表情が強張る。瞳に薄く水の膜が張ってゆらゆらと揺れ始めた。

「…っち」

それ以上見ていたくなくて背を向けると、椿が小さく息を吐くのが聞こえた。
そのままロッカールームから出て行けばいい。今の俺は酷く機嫌が悪い。いつもは保っている余裕なんて根こそぎどこかへ行ってしまった。

そうなると俺の中に残るものは―――。

「ザキさん!こっち向いてください!」
「っ!?」

ぐ、と肩を掴まれ半ば無理やり後ろかを向かされる。思いの外強い目をした椿と顔を合わせることになった。

「、んだよ」
「何でそんなに不機嫌なんすか?俺、何かしましたか?」

その言葉に最後に残っていた、たぶん良心とか理性とかって呼べるものが吹き飛んだ。
一瞬で真っ白になった頭、次に気が付いたときには椿を床に押し倒して馬乗りになる形でのしかかってた。したたかに背中か後頭部でもぶつけたのか、椿が盛大に顔をしかめている。

「…つぅ…」
「お前、ほんと何なわけ?」
「何が、すか…?」
「いちいち俺に構ってくんじゃねえよ」

椿の表情が固まる。今、こいつはすごく傷ついてる。他でもない、俺の言葉で。態度で。

その事実は、間違いなく俺を喜ばせる。

「ザキ、さん…」

強張った表情のまま、椿が名前を呼んだ。無意識に出た声なのかもしれない。ぽつりと落とされたそれに続く言葉はない。しばらくそのままでいると、沈黙に耐えかねたのか椿が何か言おうと口を開いた。
でもな、残念だけど俺はお前と話なんてしようとは思わねえんだよ。

「ザキさ、ンっ!?」

椿の唇に噛み付くようにして無理やり奪う。無防備に開かれたそこを犯すのなんて簡単なことだ。舌を突っ込んで好き勝手動き回る。椿の舌も吸い上げると苦しいのかくぐもった声が上がる。ちらりと見れば眉間を寄せて目もきつく瞑り、呼吸がうまくできないせいか顔も赤い。
でもそう簡単には離してやらない。突っぱねたときにそれでもこちらに踏み込んできたのはこいつの方なんだから。

「ザキさんっ、ャ…っ」
「…っは、何が嫌だって?」
「ひっ、うぁっ」

乱暴な動きで椿の脚を割り開き、中心に手を伸ばす。ジーンズの上からでもわかるくらいにしっかりと反応を見せてるソレに笑ってしまった。

「嫌、て言いながらコレか?」
「…っぅ、く…」
「また固くなったけど?」
「あ、ぁう…っ、は、ザキさ…っやめ、」
「やめねーよ」
「イっ…、んあ!」

固い布越しにぐいぐいと刺激してやれば、おもしろいくらいに椿の体が跳ねた。それと同時に手の中のものも質量を増す。フロントを開いてないから、たぶんかなり窮屈だろう。もしかしたら痛みもあるかもしれない。
顔を染め、とくに赤くなった眦にじわりと涙が浮かぶ。閉じることを忘れたような口からは荒い呼吸と、意味をなさない声。そのひとつひとつが艶を増していくことにこいつはきっと気付いてないんだろう。

そしてそれがどれだけ俺に影響しているのか、も。

「あ、あ、あっ、ザキさん、ザキさ…!や、あ、も…っ、も、ダメ…!」
「は、もう限界?」
「んっ、んン!」
「じゃあこのままイけば?」
「なっ…、はぅっ、や、いやです…!やだ、ヤっ、あ、あああ!」

ぐりぐりと容赦のかけらもないような手つきで追い詰める。快感を与えるというよりもただひたすらに射精を促すだけの動きに、切羽詰まってた椿は拒絶の言葉を吐きながらもあっけなく果てた。
ぐったりと全身の力を抜き、激しい呼吸を繰り返す。酷く汗ばんだ首筋を指で辿ると、びくりと大袈裟に体を揺らした。

「何?」
「…」

しっとりと濡れた瞳が何か言いたそうにこちらを見る。このまま逸らされて終わるかと思っていたら、のろのろと持ち上げられた手に腕を掴まれた。

「俺…、なにかしましたか」
「…」
「俺、バカだから、知らないうちに何かしてるのかもしれません。それが、ザキさんを怒らせてるのかも、しれないです。でも俺、言ってもらえなきゃ、やっぱわかんないっすよ…」

教えてください、と椿が言う。
半分涙混じりの声で。

「俺に言ってください、ザキさん。何でも、俺がザキさんのために知らなきゃいけないこと、したほうがいいこと、しちゃいけないこと…。覚えます、から」

ひゅ、と息が喉に絡む音がした。
でもそれは椿の?それとも俺の?

「だから、俺のこと、ちゃんと見てください…!」
「だったら!」
「…っ」

びくんっと震える椿の肩を両手で掴む。掌に力が入り、指先が白くなった。

「だったら、お前も俺だけ見てろ。よそ見すんな、他の奴とベタベタしてんじゃねえよ!」
「…ザキさん、それ、」

やきもち?と訊かれ違う!と反論する。が、椿は目許を和らげて何だ、と呟くように言った。

「俺、ちゃんとザキさんに好かれてんスね」
「…なに、それ」
「俺ばっかがザキさんを好きなのかと思ってました」

そう言ってよかった、と笑う椿に何て言っていいかわからずに黙りこむ。

こいつ、今さっきまで俺に何されてたかわかってんのか?ついさっきのことも忘れちまうくらいに都合のいい頭してんのか?クラブハウスで、いつ誰が来るかわからないロッカールームで押し倒されて強姦まがいのことされたんだぞ?なんでそんなにのほほんと笑ってんだよ、お前。

―――そんなことされても許せるほど、俺を好きでいてくれてるってことかよ?

「椿…っ」
「わ…っ!どうしました?」

どうしたもこうしたもあるか。何なんだお前。俺をどうしたいんだよ。これまで以上にお前に溺れさせて、どうしようってんだ、バカが。

「ザキさん?」
「…悪かった」
「へ?」
「今の。無理やりしたこと」
「あ、あぁ…、えと、その…」

抱きしめた体が服越しにその熱さがわかるくらいに熱を発した。
耳元で椿が小さく笑うのがわかった。

「俺、ザキさんになら何されてもいいって、結構本気で思ってますよ」
「―――あ?」
「あ、でも怖いのとか、痛いのはちょっと…苦手ですけど…」

やっぱりこいつはどうしようもないバカだ。
こんな状況でそんなこと言って、どうなるか何で考えねえの?

「椿…」
「はい、あ、え、えぇ?」
「な、どうしてくれんの、これ」
「えぇっ!? そ、そんなこと言われても…!」
「俺になら何されてもいいんだっけ?」
「う…っ」

下半身を押しつけたままぐっと顔を近付けると、ぎゅっと椿は目を瞑った。
体を竦ませてわかりやすく怯えるこいつに笑いがこみあげてきて、それを隠すように額に唇を落とす。

「ザキ、さん…」
「していいよな?」
「…ここ、で?」
「この状況で移動なんてできるか」
「あぅ…う、えっと、」

きょろきょろと落ち着かない様子で視線を彷徨わせていた椿が、何か意を決したような顔を向けた。
何?と首を傾げて続きを促せば、何も言わずにいきなり俺の下半身に手を伸ばした。

「…っ」
「わ…、おっき…」
「おま、お前、な…!」

ただ触れるだけといっていいような、愛撫でもなんでもないものだけど不意を突かれたせいか正直な反応を見せてしまった。それに気を良くしたのか椿の手が大胆に動き始める。

「つばき…っ」
「ザキさんになら、何されてもいいです、けど」
「っく…」
「ときどきくらい、俺もザキさんに、したいです」
「は…っ」

フロントを広げられ、中に手を差し込まれる。やめさせようと体を浮かしたら、逆にその動きを取られて床に座るはめになった。

「椿?」
「ん、…」
「っ、」

俺の前に屈んだ椿が股間に顔をうずめて、そこに舌を這わせてきた。
セックスどころかその手の話題だけでも苦手とする椿がまさかそんな手段に出るとは思ってなかったので、驚きすぎて制止のタイミングを完璧に逃してしまった。でも混乱していたのは最初だけ、多少冷静になってくればこの状況もそう悪くはないと思い直す。恋人に奉仕されて嫌がる奴はそういないだろう。まして椿みたいな奥手な奴がするとなるとなおのこと。

「…っは、なかなかやるじゃねえの…」
「ん、んぅ…」

黒い髪に指を差し込み、褒めるように、促すように、ゆったりと撫でる。そうしたら椿も羞恥を超えてさらに深く咥えこんだ。
喉奥に先端があたって気持ちがいい。でもこいつは相当苦しいと思う。無理をするな、と頬を撫でると、細められた目とかち合った。

「…っ」
「…んむっ」

なんだ、この破壊力満点の光景は。

深くまで咥え、入りきらないところは指で擦り上げる。かと思ったら口を離して舌で根元から先端へと吐精を促すように舐め上げる。
呼吸しづらいのか、こいつも興奮しているのか、真っ赤に頬を染め、それよりも赤い唇は先走りの汁で濡れて光る。ロッカールームの煌々とした蛍光灯の真下で行われる淫靡な行為に高まるばかりの体を止めることなどできるわけもない。

「っく…、も、離せ…」
「っん、ん!」
「―――!」

腰を引こうとしたらさらに深く銜えられ、そのまま放ってしまった。

「…っの、バカ!吐きだせ」
「…っは、あ…あ、飲んじゃい、ました」
「おっま…」

けろりととんでもないことを言ってのける。まだ呼吸の荒い口許を拭いながら体を起こした椿の顎を掴むと、熟れたような唇に噛み付いた。

「…!」
「覚悟しろよ、椿…」

もともとそうよろしくはない目つきで下から睨むと、ひくりと椿の口許が引き攣ったのが目に入る。が、いまさら手加減なんて一切してやんねー。

「明日、オフじゃないけどな」
「っざ、ザキさんっ、勘弁…!」
「するわけあるか!」

もう一回いまさら泣きごとを漏らす唇に噛み付いて、そのまま押し倒した。





だから離れないとって




thx 獣





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