吐き出した息に熱がこもっていて思わず眉間を寄せた。

「っん…っ、く、ぅ…!」
「っ、ぅ…大丈夫か…?」
「は、ぃ…」

無意識に動いていたのか、腕の中に囲って閉じ込めた相手が背を反らしてビクリと震える。それに自身を埋めたところもつられたのか収縮し、息を詰める。
下で俯せた格好の椿は短く浅い呼吸を繰り返す。必要なだけの酸素を充分に取り込めないのか、ずいぶんと苦しそうだ。

なんて他人事みたいに言うが、そうさせてる原因は間違いなく俺なんだけど。

ただでさえ無理をさせているところに追い討ちなんてかけれるはずもなく、かなり削り取られてしまった余裕を何とかかき集めて、少しでも冷静になろうと息を吐く。熱い。自分の体なのに自分のものじゃないみたいだ。

本能のままに貪ろうと暴走しかける体を屈ませ、眼下で緩く波打つ背中に唇を落とす。

「ふっ、あ…っ」
「くすぐったい?」
「ん、ぁ、ちが…、じゃ、なくて…っ」
「素直に気持ちいいって言ってみな?」
「ゃ、ちがうっ…ス、そんなんじゃぁ…っ」

シーツに頭を擦り付けるように首を振る椿の、真っ赤に染まった耳殻に舌を這わせる。途端にまた締め付けられ、小さく呻く。

もうとうに限界を迎えてるくせに意地っ張りな椿をいじめてみたくなるんだから、俺もいい性格してる。
いや、それよりこいつがいちいち可愛いのが悪いよな。

「ずいぶんとおねだり上手、だな」
「ひ、っん、あぁ…っや、ヤ…!」

耳から首、背中…と舌で伝う。背面を唇で愛でると同時に反対側に指を滑らせると、涙混じりの声があがる。
恥ずかしがってなかなか声を出そうとしない椿がこうなるともう限界ということで。少しの間放置していたそこを握ると大袈裟なほど体に震えが走った。

「たつみ、さ…っ、あっ、ぁ、あぁっ」
「すげ、ドロドロ…。あ、ビクッてした」
「んっ、も…、も、やだぁ…っ」

いよいよ本格的に泣き出した椿に、もうこっちの我慢も限界を越えた。

大切だし、愛しいし、何より大事にしたいのに、同時に泣かせて泣かせて、俺のことだけでその心をいっぱいにしてやりたくなる。
微笑みも涙も俺だけのものだと、本当にそうできたらどれだけいいか…。

体勢を変えて細い腰を掴む手に力をこめる。
本来受け入れるようにできていないそこが赤く腫れてひくつくのを目にして、完全に理性が切れた。

「っっ、あ…っ―――!」

仰け反って耐える椿の指がきつくシーツを掴んで白くなっているのが視界に映る。
痛々しくも思えるそれに感じるのは間違いなく愉悦。背筋がゾクゾクする。こめかみから顎を伝って落ちた汗が白い背中で弾けるのがひどくゆっくりに思えた。

…熱い、熱い。

見えてるし、感覚はいつになく鋭くなっているのに頭がそれについていかない。
考える暇もなく、ただ目の前の体を欲のままに食らい尽くすだけ。

一段と深いとこを抉るように動くと、椿の体が反応を示す。声らしい声は出てない。
ここまでくると俺ももういちいちには構ってられなくて、15も年が違うというのに情けない限りだが、ただ目の前の快楽しか追えなくなる。

最後までただ、熱さだけが残るんだ。





んだ熱の赴くまま




thx 獣





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -