ヒク、と椿の顔が引き攣る。その次に心なしか血の気が引いたみたいになった。
俺のベッドに座る椿の足許に跪いただけでこの反応。相変わらずよくわかんないけどおもしろい奴だ。
「椿」
「は、はひっ」
「(はひ？)ちょっと足見せて」
「え、えっ!?」
「筋が張ってないかとかさ、確認させてよ」
「へ、？」
「しょちゅう遅くまでボール蹴ってんだろうし。っよ、と」
「ふにゃっ！」
ちょっと片足を持ち上げただけなのに、椿はころりとベッドに転がる。
いやいや、どうなのソレ。何なのソレ。何か意味を含んでんの？いいように解釈しちまうぞー、ったく。
「か、かんと、っうひ!?」
「んだよ、お前、うるせえなぁ、さっきから」
「だって、くすぐったいっス！」
「筋確かめるって言ったろ。触んなきゃわかんねえよ」
「っう、ぅ…、すみませ…っん！」
きゅうっ、と足を縮こませて、体に力が入りすぎ。
くすぐったがりだとは思ってたけどさ、ここまで反応されると期待に応えたくなるっつーか、イジメっ子気質を刺激されるっつーか。
ぶっちゃけアレだ。ムラムラしてきた。
(まずい…そんなつもりなかったんだけど。一応マジメにするつもりだったんだけど。でもなー。だってなー。でもなー)
「…かんとく？」
(さよなら、俺の理性)
男なんて所詮みんなケダモノだ。
ベッドに恋人、潤んだ目、上気した頬、惜し気もなく晒したしなやかな脚。
いわゆる据え膳ってやつだろ、コレ。
「…？ どうした、ひゃあっ!?」
びくんっ、と椿の脚が跳ね上がるのを押さえ付けて、口付けた爪先からそのまま足の甲に唇を滑らせてみる。
「うわっ、わ…っ、か、かんと、く！やめ…っ、あ、ヤ…！」
「くすぐったい？」
「っん、んん…っは、い…っ」
「くすぐったい、だけ？」
「なに、ひぁっ」
ぺろー、と膝まで舐め上げてみた。
椿は脚だけじゃなくて体も声も震えてて、今にも泣き出しそう。
(っは…ゾクゾクすんね、ほんと)
椿の反応次第ではここでやめて悪戯止まりにしようかなとも思ってたんだけど、やっぱ無理だな。
「仕掛けた俺が捕まっちゃったなー」
「え？」
「何でもないよ」
体を起こしてベッドに手をつく。そのまま伸び上がってぼうっとしてる椿の唇にキス。ちゅう、なんてえらい可愛らしい音がした。
「…っ!!」
「悪戯はここまでにして、真面目な話をしようか」
「まじめなはなし？」
「そう。恋人同士の親睦を深めるための、体を使った話し合い」
「？？」
椿の何もわかってない、キョトンとした表情が愛しくてしかたない。
悪戯爪先キス
thx 空想アリア