「いって…」
「監督、どうしたんですか、その指?」
「ん?あー…ちょっと犬に噛まれた」

人差し指のつけ根にくっきりとついた赤い痕。
ときにずきりと痛むそれをやわく撫でてると松ちゃんが痛そうな顔をして尋ねてきた。

「松ちゃんのが痛そうな顔してんねー」
「だってそれかなり痛そうですよ。赤くなってるし…」
「んんー、まぁ痛いっちゃ痛いんだけどさー」

じくりと広がるのは痛み、というよりももっと熱くて止まれない衝動の結末で。
思い出したら熟れた空気を反芻して下半身が疼き出す。

「それよりも、気持ちいい、よ」
「はぁ?」

不信感に顔を歪ませる松ちゃんの向こうで歯形を付けた張本人がボールを追って走っていた。



---------------<キリトリ>-----

この噛み癖は治さなくてもいい、な。



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