明確な理由を示せ、と言われるとちょっと困る。

たとえば、一度も染めたことがないだろう真っ黒な髪も、それと同じ真っ黒い大きな目も、それが困惑に揺れるのも、真っ直ぐに見据えてくる強さも。日に焼けた頬も、驚くほど柔らかい唇も、すらりと伸びた首筋も腕も、力強くフィールドを駆け上がる脚も。チキンな性格も、実はものすごく負けず嫌いなとこも。

でもこうしてひとつひとつ挙げていくと、だんだん本質から離れていくような気がする。

黒い髪や目の奴が好きってわけじゃないし、足が速いからいいわけでもないし、どっちかっていうと気の弱い奴って苦手だし。

なんなんだろーなー。自分でもよくわかんないや。

んでもさ、こういうのって理由、ていうか、理屈じゃないじゃん。
人の感情なんて、そんなもんだよ。

「椿ー」
「? 何ですか?」
「好きだよー」
「、は」
「ニヒー」

ほら、目を真ん丸にして真っ赤になって固まっちゃうとこも。



―――つまり簡単に言うと君の全てが好きなんです。



---------------<キリトリ>-----

サルベージその1。
こんな35才がいてもいいと思う。

thx 偽ればそれが真実になります故。



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