一緒にいると安心する、側に居たい、ずっと見ていたい、これが恋じゃなかったら何なんスか。
「お前はじじいを俺に重ねているだけだ」
「…違います」
「違わねえ」
こんな問答はもう充分すぎるほどした。もう、充分すぎるほど、したのに。
「それなら…承太郎さん」
キスを拒んでください。嫌いだとはっきり言葉にしてください。気持ち悪いと顔を歪ませてください。
何かひとつでいいんです、あんたを諦められるきっかけがほしいんです。それなら仕方ないって、納得できないと、ダメなんです。
ゆっくりと顔を近づける。承太郎さんの頬に唇を滑らしてそれから口付ける。そしたら無理矢理こじ開けるまでもなく、薄く口を開いてくれる。承太郎さんからは決してしないけど、求めれば応えてくれて、拒みはしない。
「好きです、」
自分の気持ちに嘘をつける年頃じゃあねえんす。
「あんたの言ってる事が正しいなら、拒んでください」
舌を噛み切ってくれたって構いません。嫌いだと一言言うだけでいいんです。簡単でしょう?
だけど俺にはそれすら、難しいんだ。だからあんたが、俺のこの気持ちを否定してください。もっと、残酷に。