ほんの少しの優越感がくるぶしに出来た虫刺されからぞくぞくと這い上がってくる。
「…っ、」
べろり、と虫刺されを執拗に舐められる。たまに甘噛み。むず痒さで足を引っ込めようとしても、しっかりと掴まれて逃げられない。
俺は逃げられないのだ。
「っおい!ジョニィ…!いい加減にしろ!」
そう怒鳴って奴の顔に手を伸ばすと、犬歯を立てて虫刺されを噛んだ。
「…っ」
噛まれたところから血が流れでる。足の指を丸めて伸ばした手を握って痛みをやりすごす。
「さっきからうるさい」
冷たく言い放つと興味を無くしたように俺の側から離れていった。
じくじくと痛む踝からはまだ血が出ている。
「何なん…だ、」
「僕の秘密をお前に教えるわけないだろ」
さきほど身体を巡っていた優越感はすこしでも何かを期待した自分への羞恥心と絶望感に変わってぐるぐると心臓を中心に溜まっていった。