よく知っている味だ。

口の中に滑り込んできた仗助の汗にそう思った。
ジョルノが手紙で、汗の味で嘘を判別する奴がいた、と書いていたが俺には海の味も仗助の汗の味も違いが分からない。ましてや、先ほどから囁かれているこの言葉が嘘かどうかなんて、この一雫では分かりはしない。

薄っすらと目を開けると、仗助の顎からまた一粒滴り落ちる雫が見えた。

「…ッう、あ、」

この声はどこから漏れ出てくるんだろうか。自分の声帯がひりひりと震えるのに合わせて漏れているから俺のだろう。自分の声じゃあないみたいだ。仗助、と呼んでいるのも、自分でないようで、嫉妬してしまいそうになるぐらい、馴染みのない声。

力は俺の方が上だ、体格だって。手の大きさはこの前比べたら殆ど差がなかったな。身長が越されるのもそう遠くはないだろう。
それでも今は振りほどける。
ベッドへと押さえつけられている手だって。上に乗っかる身体だって。
それでも、どういった訳か力が入らない。

「っうたろ、さん…、」

俺の横へと突っ伏して、耳に寄せられた唇が聞き慣れた言葉を囁く。

「好きです、」





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