康一くん、康一くん、康一くん、私幸せすぎてどうしよう。

ちょい、ちょい、と私より背の低い康一くんは背伸びをして私に屈むよう手招きする。
ほんの少し期待して顔を近づけると、康一くんの唇は私の唇をすぃ、と通り過ぎて耳に寄せられた。

「まずいな〜、僕、もう仗助くんに億泰くんの好きな人喋っちゃったよ」

困ったように眉を下げているけど、どこか楽しそうな声音に私は緩やかに口角を上げた。

「平気よ。そんなのいつかはバレるんだから」
「そうかな、そうだよね、億泰くん分かりやすいから。」

ひそひそと二人だけの会話が幸せ。康一くん、康一くん、康一くん。

「あ、それとね、由花子さん、今日の服装とっても可愛いよ」

康一くん好みだろうと思って買ったばかりの新しい服。不意の褒め言葉にくらりとバランスを崩してしまったら康一くんの唇が頬に微かに触れて熱くなる。
もうキスだってしているのに、康一くん、康一くん、康一くん、どうしてかしら?

「おい!おめーら、いちゃついてんじゃねーぞ!」

他人から見たら今の私たちはそう見えるのね。そして康一くんも「ごめん、ごめん」と照れ臭そうに笑って否定しない。

康一くん、康一くん、康一くん。私、そんな些細な事がとても幸せだと思えるようになったの。




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