「辺古山って笑わねーよな」

雑談の中、秘密の幼馴染の名前がでた。

ペコの奴はよく笑ってるだろう。
そう思ったけど黙っておいた。何しろ俺らの関係は九頭竜の門を一歩でたらただのクラスメイト。特別を知っていてはいけない。

「笑えばなあ、可愛いのに」

笑わなくても可愛いだろうが。
ちらり、とペコの方を見ると目が合った。合ったから慌てて目線を逸らすと不自然になるから何事もないように視線を流す。

「やべ、聞こえたかな。今、こっち見てなかった?」

見てたな。もしかしたら目線が合ったと思ったのは俺だけだったのかもしれないぐらいには。

携帯が震えた。五分ほど放置してから確認するとペコだった。

"坊ちゃん、積極的にお話に加わればいいのですよ。皆さんも坊ちゃんと話したいのですから。"

メールの内容に思わず笑った。
どうやら目が合ったのは間違いないが、助けを求めたと勘違いしたらしい。

「何だよ九頭竜、急に。」
「いや、ちょっとな」
「何、そんな面白いメール?見せろよ」
「駄目だ」

クラスメイトとのそんな会話の端でペコが笑っていたのが見えた。
ほら、よく見ろよ、笑ってんじゃねーか。




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