「これも忌々しいジョースターの血、か…」
彼は暗闇の中静かに呟いた。
数多の女性が私の血をどうぞ吸ってお願いと身をくねらせながら死んで逝く最中、私は足に鎖を繋がれながらDIOを見つめていた。
艶っぽい唇は私には笑わない。
「…あ、……ィ…様、」
薄いドアの向こう、女の嬌声が聞こえる。私はどうしてここにいるの?
ぎぃ、と蝶番が不快な音を立てる。 ざらざらと鎖を引きずって私は入ってきた人物に近づいた。
「…、」
いい加減にこの憂鬱から解放して、そう言おうとした。その前にDIOは始めて私に触れた。頬に添えられた手は人の体温だった。
「ここには石仮面は無い」
DIOの親指が私の頬を撫でる。
石仮面とは何のことだろう。
「だからお前が俺と同じ時を歩むには俺の血を受け入れなければならない」
もう片方の頬にも手を添えられて強制的に上を向かされた。DIOの顔が近い。
「しかし、それだと俺がお前の意思を支配することになる」
それが堪らなく。
そこでDIOは言葉を切って、頬からも手を放した。そのままベッドへと行き横たわる。
「おやすみなさい、DIO」
DIOは私に何を求めているのだろう。私は貴方のためにほかと同じように死んでもいいと思っているのに。これ以上何を求めているの。