「欲しいものがあったら言え。」
「帰りたい」
「相変わらず言葉が通じないな」
「同感だわ。揺るぎない言語障害ね」

瓦礫だらけの廃墟で私はお姫様になった。小さい頃から夢だった。たくさんのキラキラした宝石、ふわふわ大きいスカートのドレス、私を一番にしてくれる王子様。
そんなありもしない夢から覚めたのは十と少しの時。唐突に、私が今生きている世界ではそんなこと起こらないんだと気づいた。

「何が不満だ」

瓦礫のお城。盗んできた宝石、奪ったドレス、私を一番にしたのは盗賊の頭。私の夢を叶えた王子様はA級賞金首。

「夢が叶ってしまったこと」
「俺達の言葉はいつ通じ合うのかな」
「そうね、早く同じ言葉を喋れたらいいのに」

貴方が普通の王子様だったなら、私はなんの問題もなく恋に落ちていたわ。でも、貴方は私を知らないままでいたでしょうね。

この関係だからこそ、成り立つ恋愛だなんて。





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