「俺のこと好き?」

椅子に腰掛けた彼女はうっすらと口角を上げながら「好きよ」と一言。
子供の玩具みたいだ。話すお人形。

「どこが?」
「…」

答えを教えていない質問には答えられない。

いつ好きになったのかは覚えていない。
鋲を突き付けて「俺のこと好きだよね」と聞いたら彼女は一息置いてから「はい。」と答えた。それが始まり。
それより前の彼女は覚えていない。

「俺のこと好き?」
「好きよ」
「どこが?」
「…。」

繰り返す。答えなんか返ってこないのを知っていても同じ質問しかしない。同じ質問しかできない。

「イルミ」

俺が記憶している中で彼女は初めて俺の名前を呼んだ。
空耳かと思ってじい、と彼女を見ると唇が動く。

「もう、終わりにしましょうか。」

彼女はゆっくりと噛み締めるように呟いた後、一筋涙を流した。

ふ、と。何で俺はこの女を殺していないんだろう。この女は数ヶ月前に依頼があった女だ。それを自分の部屋で匿うような真似を。

嗚呼、この女の念能力だろうか油断した。俺もまだまだ詰めが甘いな、とため息と共に椅子か崩れ落ちる女の死体をさてどうするか。





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