私が拾われた理由をご存知ですか?
そう聞くと少し間を置いてから知ってる、と言った。瞬きもせずにお互いをじっと見つめる。
私はキルア様の花嫁候補として拾われた。花嫁候補として執事育成学校へ入れられた。駄目でも執事として使用できるように。
今までの屑みたいな生活に比べたら幸せに違いない。ご法度の恋愛だって黙っていればいいのだ。気持ちを形にせず脳の奥の奥の奥でひっそりと押し潰しておけばないも同じ。
「、私はキルア様の花嫁候補です」
「知ってるよ」
「外れても執事として生きていきます」
「そうだね」
「恋愛は、」
「ご法度。」
知っているじゃあないですかと言いたい私に、知ってるよと言わんばかりの彼。
「私を殺したいんですか」
「そうかもね」
せめて、俺の手で殺したいと言ってくれれば私はいくらか救われるのに。
それ以外は辛いだけなのに。