一日一回二錠まで…用法用量を守って正しくお使いください。
愛用している睡眠薬の瓶のラベルを眺めてた。

お昼過ぎの休日。何だか頭に靄がかかったみたく眠いのに眠れないから飲んじゃおうかな、なんて。
お昼なんだから眠れなくてあたりまえなんだけど、眠りたくて。

瓶の蓋に手をかける。力を込めるけど開かない。開かない。
ヒソカが固く閉めてしまった日から私は薬を飲めないでいる。
夜、どんなに眠れなくたって自力で眠るしかない毎日。
嫌がらせでヒソカに電話を深夜二時にかけたりするけど彼は平然としてる。

「眠れない、もう、開けてよ、」

しくしくと言う私に電話向こうの彼は「お昼なんだから辺り前だよ」と明るく言う。最もなんだけど、一般論なんて私個人に当て嵌まらない場合もある。

「駄目、なの、私、」
無いと駄目なの眠れないの怖いの。

しくしく。電話口の彼は無言だ。でもその口が綺麗な弧を描いているのがつむった瞼裏に浮かぶ。

彼は楽しんでいるのだ。私が苦しんでるこの状況を。
私が意地も張れずに貴方に電話をして助けを求めるのが楽しくて仕方ないのだ。
なんて嫌な人。

また夜になったら電話をかけてきなよ、そしたらお休みを言ってあげるよ。とくつくつ笑って電話は切られた。

私は分厚いカーテンから入り込んだ鋭い光りを恨めしく睨みながら早く日が沈めと恨んだ。





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