ごく稀にだけど私はどうして死んでいないのだろうか、と考える。
「私が死んでも泣かないでね」
「そのつもりだよ」
それはそれで悲しいわダーリン。
でも泣かないでねって言っちゃった手前悲しいなんて言えなくて「よかった」と適当に返して笑った。
「きみは、」
イルミは唇だけを動かす。
「俺より先に死ぬつもりなの?」
「死ぬつもりっていうか」
死んでいないのが不思議なの。
必死で生きているわけじゃない。
瀕死の怪我や末期の病に侵されたらそのまま身を委ねられるけど、そんな事は起こらない。
死にたいわけでもないのだけど。
「死にたくなったら俺のとこに来なよ」
「楽に死なせてくれるの?」
イルミは無表情のまま「さあ?来てからのお楽しみ」とだけ言った。