美しい恋など存在するのだろうか。
恋は醜いから愛しいのに。
あまりにも出来過ぎたブラウン管の恋愛物語を鼻で笑った。
サニーが褒めていたからどんなものかと思ったけど、私の心は大して揺さぶられたりはしなかった。
きっと感想を求められる、なんて答えようかしらと読み掛けの推理小説を開いた。
「どだった?」
見終わったから、とDVDを持ってサニーの家へと来れば案の定。
どうだったと聞かれても正直、その後読んだ推理小説の犯人が意外すぎて読み直ししている最中だからあんまり覚えていないって答えるわけにはいかないけど。
「あんまり。」
「んだよ」
感動していないことに感動したとも言えずに結局彼を不機嫌にさせるような答えしかでなかった。
「だってサニーとの恋愛には敵わないんだもの」
真っ赤になってすこしの文句を口にして、彼は機嫌を直した。
私は今の恋愛を最高だと思ってるからどんな名作も素敵だとか羨ましいだとか思えないのよ。なんて言ってみたいわ。