何より朝が辛い。
身体は怠いし、起き抜けの鏡が嫌いだし、化粧のりは年々悪くなるし。

「姉さん」
「何でばれたのかしら」
「ゼブラは昔から姉さんのこと大好きだから」

昔は私がゼブラたちに構えば「君ちゃん、君ちゃん」と呼んで始終妬いてたくせに。随分大人びたことを言うようになった。
ああ、これじゃあ明日も鏡が怖い。

「もう、うるさいわよ、ゼブラ」
「出て来いって?」
「今まで引きこもってたのはどっちよ」

散々好き勝手して、刑務所入って、やっと出てきたと思ったらすぐに何処か行っちゃって。

大人気ない。私は彼よりずっと年上なのに放って置かれたくらいで拗ねてる。
もっと寛容なふりをしなくちゃ、私みたいなおばちゃんすぐに捨てられてしまうのに。

「行くの?」
「仕方ないからね」

貴方に振られたって構わないのよ、て態度でいたらすこしは振り回せるのかしら。そんな余裕ないんだけど。

「…せっかく姉さんを独り占めできてたのにな」

そうココが零すのとほぼ同時にドアが破られてゼブラが目付きの悪い目を更に悪くしてココを睨み、その目付きのまま私に視線を移した。

「遅え。」

遅いって、何よ。遅かったのは貴方の方じゃない。私の最後の二十代は貴方を待っていて終わってしまったのよ。その事、どう責任取るつもりなの。

ぐるぐる渦巻く文句は年相応に喉の奥へと押し込まれていく。

「姉さん、意地を張っていても解決しないよ」
行ってきたら?

ココの一言でゼブラが私を抱え上げた。そのままココの家を離れるとき、ココが耳打ちしてきた。
でも、たまには僕を優先してね。
ゼブラがまた、ぎろり、とココを睨む。どんなに小声で言ったって彼には聞こえてしまうのに。私もココの耳へと唇を近づけて今度ね、と答えた。









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