まずは食事に誘う。
つぎは好きだと言う。
それから花を贈る。
そしてプロポーズ。

「僕のプランは最高だったと思うんだ。」
「そうね」

憧れだと思うわ。女なら誰だって一度は思い描くような素敵なプラン。

「どこで間違ったと思う?」
「さあ?」

今が失敗だと言うなら食事に誘った時点で間違っていたんじゃないかしら。そんな事を言えばますます落ち込んでしまうから黙ってるけど。

食事は夜景の綺麗なレストラン。告白はうっとりするほどロマンティックな台詞。花は豪奢でいつまでもその香りに酔った。それでプロポーズされたら誰だって二つ返事だわ。貴方のプランにミスなんかなかった。シンプルで使い古された、だけど最高で確実なプラン。

ココはずっと俯いている。
私を見ようとしていない。見れば嫌でも答えが分かってしまうから。

結婚してほしい、そのシンプルな文句がプロポーズの一言。私には高価すぎる婚約指輪がデザートのホールケーキに乗せられ出てくるはずだった。

「練習中にごめんね」

ココの家でゆっくり食事をしようと誘われた。料理は僕が作るよと言われて私は以前食べた手料理が美味しかったのを思い出して家を出た。
そしたら予定より一本早い列車に乗れて、キッスは私の顔を見るなりスマートに玄関まで飛んでくれた。「早く着いちゃった」と玄関扉を開けたら、ココがケーキを持って文句の練習をしているところだった。

「私の返事はいらない?」

意地悪く聞けば彼は固く目を閉じて顔を上げた。

「いいや、いる。聞かせてくれ」

いつも期待していた。だから私の返事はとっくに決まっている。
ゆっくりと息を吸って、ふと。

「あ、でも私まだプロポーズの言葉をもらってないわ。」
「今日はずいぶん意地悪だね」
「そうかしら?言ってくれないの?」

だって大事なことだわ。一生のうちに何度でも思い出したいことだもの。

「…僕と結婚してください」
「喜んで!」









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -