彼がごみ箱に捨てた目玉を救い上げる。
これは元は鮮やかな色をしていたのだろうけど、今は白濁としていてくぢゅりと柔らかく溶けていた。
それらは彼の部屋にはよく捨ててあった。

「そんなゴミ拾ってどうかした?」
「べつに」

反射運動もしなくなったらせドルには可愛い目玉じゃなくてただのゴミ。…私と似ているからと抉ってきたものでも。

私が死んでしまったらこんな風にあっさりと下へ落とすのかしら。そしたら私は腐りながら肉片を残さず啄ばまれて上から降る生ごみに埋れていくのね。
その光景を簡単に想像出来てしまうことが何より哀しい。

ぐい、と腕を引っ張られて持っていた目玉が床へ落ちる。転がりもしないし何処も見ていない。

「ぴったり!」

愉快そうに笑うから何かと思って視線を手元に移すと目玉が私の薬指にはめ込まれていた。編まれた視神経がリングになった目玉の指輪。

淡い紫色の目玉と視線が合う。

「セドル、これ」
「今一番お気に入りの目玉」

薬指に嵌められた純粋に歪んだ指輪に私は素直に喜ぶこともできなくて「相変わらず悪趣味」と悪態を零すのがやっとだった。








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