そう言って頬を叩いてやった。
叩いた掌がじん、と痺れるぐらい強く。
彼は目を大きく見開く。力いっぱい叩いた頬は朱くなりもしなくて、私の掌だけが痺れるように痛い。

「帰る。」

呆気に取られてる彼ににっこり笑顔を送って踵を返すと、肩を捕まれ呼び止められた。

「何怒ってんだ」
「何って、」

私は確かに女と言う生き物よ。
そう造られてるわ。脳も体も女。
でもそれは所詮括りであって女は私ではない。

「前の恋人にプレゼントした物と同じ物で私のご機嫌が取れると思ってるの?」

私の言葉に何も返してこない。
何か言い返してますます私のご機嫌を損ねるのが面倒なのかしら。どうして知ってるとか考えてるのかしら。

「トリコ、」
だからって今更別の物を用意したって遅いわ。

本当は大事にとって置きたいぐらい嬉しいけど、ここで受け取っちゃ駄目。すべてが台なしになる。
面倒だとか可愛くないと言われたって私は他の何者でもないって知ってほしいの。

「…悪かった」

じんじんじんと掌ばかりが痺れる痛さ。
トリコの大きな手の中でぐしゃりと握り潰されるプレゼントが惜しい。
けれど仄かな優越感。
だって明日は私だけのプレゼントが贈られるはずだから。










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