3呼び止めようとしたのに、副委員長達はさっさといなくなってしまった。
みんなが出て行ったら、ミノルくんと二人きりじゃん!
「書類、まだ終わらないのか?」
「……う」
ミノルくんの視線が痛い。
だって、気が付いたら時間が過ぎてたんだよ。びっくりするよね。
真面目なミノルくんは、やっぱりデキる男がいいのかな。
いくらアンポンタンでも、腐れチンコでも、篤志は意外にデキる男だったりするから、ミノルくんだって……。
ミノルくんに呆れられたのが悲しくて、がっくりと椅子に座った俺の目の前に、小さなケーキが置かれる。
「野菜たっぷり入れといたから」
「ありがとう!」
こんな俺に、ミノルくんは差し入れをしてくれるんだから、すごく嬉しい。
さっそくケーキを摘んでいると、ミノルくんがじっとこっちを見つめてきた。
そんな目で見られると緊張するんだけど。
「一緒に食べる?」
「なあ、飛鷹」
「な、なにかな……」
改まったミノルくんに、俺も自然と背筋が伸びる。
何だか、すごく心臓がドキドキしてきたんですけど。
「会長の事だけど」
「う、……うん」
「あの時、俺は会長への想いは断ち切ったんだ。だから、元サヤ、つっても元々付き合ってたような感じじゃなかったけど、とにかく、今はそんな感じになるつもりはない」
「そうなの?」
「ああ。あの時屋上で、俺の思いは終わらせたんだ」
「ミノルくん……」
ミノルくんは強いな。
ウジウジしてる俺なんかと違って、真っ直ぐちゃんと立ってるミノルくんが格好よくて、やっぱり大好きだと思った。
「一人で頑張ったんだね」
「違うだろ。あんた、側にいてくれたんじゃないのか」
「ミ、ミノルくん……!」
ミノルくんのその言葉、滅茶苦茶嬉しい!
扉の向こうにいた俺だったけど、それでもミノルくんの役に立てたって事なんだよな。
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