「委員長、見回りの時間ですよ!」
「んー?」

いつにも増して、委員長のぼんやり度が凄まじい。
副委員長が夜叉と化しているため、みんなは静かに様子を窺っていた。

「委員長! 書類が終わってない! じゃないですか!」
「あれ、本当だ」
「はぁぁ、もういいです。見回りは花田に行かせるんで、委員長はそれ終わらせてください。必ずですよ!」
「わかった。ごめんね」
「まったく、そんなんじゃ、遠山に呆れられますからね」
「う!」

委員長はうめきながら両手で胸を押さえてしまった。

珍しく、委員長が机に向かっていたかと思えば、一つも仕事が進んでいなかったようだ。
こんなふうに、委員長の様子がおかしくなってしまったのは、恋を知ってしまったからだった。
しかも、あれ程女性が好きだった委員長がこの学校の生徒、つまり、男性を好きになったらしい。
それを副委員長は誰よりも早く察知していた。
上司の好みを常に把握しておくだなんて、さすがです。勉強になりました。

委員長もそれを隠すつもりもないようで、生徒会補佐の遠山先輩が好きだと、しかも片思いだと言う事は、そのうちに風紀委員のみんなが知る事となった。

そんなこんなで、上司の恋愛遍歴まで把握している副委員長は、これが委員長の初恋だと言っていた。だから、委員長の今の状態は、恋という病気を煩っている状態なんだそうだ。
上司を心身共に気に掛けている副委員長さすがです。

まあ、病気なら仕方ないよね。てか、今まで散々女性とヤリ……、関係を持っていたのに、初恋なのかよ!
と言う突っ込みを内心でしつつ、風紀委員達は尊敬する委員長の恋の行方を温かい眼差しで見守る事にしたのだ。

しかし、只でさえアホ……ぼんやりしている委員長が、こんな状態だとさすがに困る。
そんな時に、渦中の人物が現れた。

「飛鷹はいる?」
「ミノルくん!」

委員長の声と共に、ガツンと物凄い音が響く。勢いよく立ち上がったせいで、委員長は机に足をぶつけたようだ。

「俺達は用事があるんで、委員長は書類お願いしますよ」
「あ、副委員長! と、みんな……!」

委員長は呼び止めようとしたけど、副委員長は俺達を引きつれて部屋から出て行く。
委員長のために、気を利かせたんですね。仕事が残ってるのに。

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