「あれ、そう言えばこいつら何?」

転がっているヒロ達に、今気付いたように飛鷹先輩が言った。

「大方、稔にちょっかい出そうとしたんだろう」
「マジか!?」
「待て琉生。もうこれで充分だろ」

転がる奴らを見ながら、飛鷹先輩が首をかしげる。

「充分? そうかぁ? だけど、こいつらどうしてこうなってるんだ?」

俺は知っている。
遠山先輩が合気道の有段者だってのを。
実は、遠山先輩相手に篤志さんも相当てこずっていたって事なんかも。
だからこいつらなんかが、遠山先輩の敵にはならない。手を出すなって忠告してたのに、マジでアホだ。

「すまない。俺がやった」
「えっ、ミノルくん? えっ、えぇっ!?」

屍と化した三人と遠山先輩を見比べて、飛鷹先輩が驚いてる。
飛鷹先輩、知らなかったんだな。意外だ。とっくに手を出そうとして、返り討ちに合ってるかと思ったんだが。

「寝技かけられそうになって思わず。こいつら処分するなら、俺もやり過ぎたから」
「いいよミノルくんは! どう考えてもこいつらが一方的に悪い!!」

飛鷹先輩が転がる三人を足蹴にする。
てか、いいのか風紀委員長がそんなんで。

「ミノルくん、出来る子だったんだな。ハハハ……」
「知らなかったのかよ。分かったんなら、稔に手ぇ出すんじゃねーぞ」
「はあ? これから色んな事をお互いに知って行くんですぅ。それに俺が手を出しても、ミノルくんが反撃するハズありませんー」
「いつまで経ってもおめでたい野郎だな、ああ?」
「負け惜しみかよ、なんなら証拠でも見せますけど?」
「……お前ら、いい加減にしろ!」
「うっ、ご、ごめんなさいィ」

怒った遠山先輩に謝ったのは、飛鷹先輩でも篤志さんでもない。
マサキ達が呻いている。よっぽど遠山先輩が怖かったらしい。

「うぅっ、もうしません……」
「俺たちは、みのりちゃんのために」
「えっ?」

突然渦中に巻き込まれたみのりは、ますます顔色を悪くさせた。
篤志さんと飛鷹先輩に見られて、プルプル震えながら首を振る。

「そ、そんな、僕……」
「みのりは何にもしてません。こいつらが勝手に暴走しただけです」

萎縮して何も言えなくなったみのりを見兼ねてフォローした。

「でも、ごめんなさい。僕ちょっと相談に乗ってもらったから」

すると遠山先輩が三人に近付き、ヒロの胸ぐらを掴んだ。

「お前ら」
「ちょっ、ミノルくん?」
「てめぇがしでかした事を人のせいにするんじゃない」
「ヒッ、ス、スミマセン!」
「そういうやり方すれば、この子だって気兼ねなく友達に相談も出来なくなるだろう。お前らに対する信用もなくなるんだよ。考えれば分かるのに少しは頭を使え、何のための脳ミソだよ。振ったら多少はマシになるか? どうだ?」
「ヒィ……!」
「待て稔!」
「倒れてたのに頭揺すっちゃダメ! 落ち着いてミノルくん!!」
「ふん、冗談に決まってるだろ」

ヒロを放して遠山先輩がゆったりと微笑んだ。
なんてーか、エロい。
間近で見ていた篤志さん達が息を呑んでる。

「遠山先輩……」

うるうるした目で遠山先輩を見るみのりに、激しく嫌な予感がした。
これ以上面倒ごとは御免だって。
正直、もう俺を巻き込まないで欲しい……。


end.

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