中庭のベンチに行くと、琉生君がいつものようにのんびりした様子で座っていた。

「琉生君」
「みのり、……って、どうした?」

僕の顔を見て、琉生君がびっくりした顔をした。
きっと、いっぱい泣いたからヒドイ顔になってるのかもしれない。

「あのね、篤志君が……」

さっきの事を思い出したら、また涙が出てくる。

「取り敢えず、座りなよ」

大きくて優しい手が僕を引き寄せて、ベンチに座らせてくれた。
見上げた先にいる琉生君は、とっても格好良い。
篤志君は硬質な感じが格好良いけど、琉生君はとっても柔らかい。凄く安心できるんだ。

「琉生君はずっと一緒にいてくれる?」
「もしかして、篤志になんか言われた?」
「……うん」
「そう。俺も、今のみのりとはずっと一緒にいたくないな」
「琉生君……! どうして!?」

琉生君から思いもよらない事を言われて、悲しくて涙が止まらなくなった。
こんなにいっぱい泣いてるのに、琉生君は困った表情で僕を見るだけ。それが琉生君から見放された証拠のような気がして、余計に悲しくなる。

「どうしてかわかる? みのりの嘘で、傷付いた人がいるんだよ」
「うん、分かってる。僕、遠山先輩に謝りたい」
「うん」
「許してもらえるかわかんないけど、遠山先輩に謝る。僕、遠山先輩の悲しそうな顔が忘れられないんだ。僕が嘘を付いたのに、何も言わないでくれたんだよ」
「うん。ミノルくんはそういう人なんだよ。だから、ミノルくんを傷付けるのは許さない」
「琉生君……」

琉生君の真面目な顔を見て、息を呑んだ。
琉生君は、遠山先輩が大切なんだ。だから、傷付けた僕を本当は怒ってたんだ。

「琉生君ごめんなさい」
「俺に謝る必要はないよ」

そう言った琉生君を見て、僕は不安になった。
琉生君は、遠山先輩の事が大切なんだ。
また一人で取り残されそうで、怖くてたまらなくなる。

「ねえ、琉生君」
「うん?」
「好きってなに? 僕は篤志君も琉生君も大好きで一緒にいたいのに、この好きは篤志君が言ってるのと違うの?」
「みのり……」

また泣き出した僕に、琉生君がグシャグシャになったハンカチを僕に渡してくれた。

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