「みのりちゃん、すっげー落ち込んでるじゃん」
「俺達の癒しがしょんぼりしてると、マジテンション下がるわ」
「俺が慰めてやりてー!」
「お前、下心しか見当たらないし」

ゲラゲラと笑い声が響く。
お前らテンション下がるとかウソだろ。

よくツルんでるヒロ、達治、マサキは、俺が一緒にいたからか、みのりにデロデロになってしまった。
俺は篤志さんに頼まれてなきゃ、あんななよっちい野郎になんか近付かなかっけど、こいつらは違ったらしい。
どんなに可愛くてもあれは男だろうが。
めんどくせぇ予感がしたが、篤志さんが怖いから、こいつらもみのりに手を出すつもりはないらしく、今のところ問題はない。

「一成、原因は何か知ってる?」
「ああ? 知らねーよ」
「やっぱ、アレかな?」
「遠山先輩に嫌われたって言ってたやつ?」

遠山、と聞いて冷や汗が出る。

「お前ら、みのりが言ってた事真に受けんじゃねーよ」
「だってよ、みのりちゃんが篤志先輩に距離を置かれたのも遠山先輩のせいなんだろ」
「そうそう。しかも遠山先輩、飛鷹先輩にも色目使ってるって言うし」
「そんなデタラメ鵜呑みにしてんのかよ」
「やっぱり一成は何か知ってんのか?」

あん時のみのりのウソが切っ掛けで、篤志さんと遠山先輩の仲が拗れたんだろうと思う。それで傷心の遠山先輩に付け込……、慰めたのが飛鷹先輩なんじゃないかと俺は踏んでいる。
だが、こいつらは篤志さんが男と付き合ってたなんて事知らねぇし、さらに篤志さんがフラれたとも言えねぇ。

「篤志さんの犬が、オレらに本当の事話す訳ねーじゃん」
「だよな、つまんね」
「でも、遠山先輩が関係してるのは間違いないんだろ」

こいつら、何だかんだ言いがかりつけて、遠山先輩にちょっかい出したいだけなんじゃねぇのか?
そう思っていたら、ヒロが窓から身を乗り出した。

「うおっ、あれ遠山先輩じゃね?」

その言葉に、マサキと達治もすぐに反応して外を見る。

「お前ら……」
「おー、やっぱなんかエロいよな」
「お願いしたらヤらせてくれるかな」

目の前の茶髪を思いっきりはたいてやった。
急いで辺りを見回したが、人の気配はなかった。篤志さんに聞かれなくて良かった。
マジこいつらアホだ。

「いてーよ」
「絶対に遠山先輩に手ェ出すなよ」
「うんうん、大丈夫だって」

ヘラヘラしながらマサキが言った。
イマイチ信用ならねぇ。
あの見てくれじゃ血迷いそうになるのは分かるが、相手が悪い。
あー、だからめんどくせぇのは嫌なのによ……。

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