廊下に怪しい男がいた。
藤沢を待ち伏せしていたらしいが、何で新聞部部長が藤沢に接触してくるんだ?
奴は藤沢を見て鼻息を荒くしてやがる。そうかストーカーか。
藤沢はバカなのかアホなのか、そんな下心がありそうな平木にノコノコついて行こうとしていた。どう見ても怪しいだろうが。

だが、藤沢はバカでもアホでもなかった。水島さんのために、敢えて怪しい平木の懐に飛び込むらしい。
それに俺を信頼してるからだと? まだ俺とは会って間もないだろうがよ。
風紀にくってかかったかと思えば人を簡単に信用して、何だか藤沢が心配になってきた。平木は変態っぽいし、藤沢に可笑しな真似をしないように期待通りに見張っといてやる。

そうして平木に連れて行かれた先で、俺はイライラさせられていた。
無防備なのかやっぱりバカなのか、藤沢は平木を見つめて話すし、手を握られそうになるし。何でそんな近くで向き合ってるんだ。もっと離れろ。
藤沢と話しているうちに、変態の鼻息がだんだん荒くなってきた。あんまり興奮させんな。危ないだろうが。
そうやって、苛立ちながら様子を見ているうちに、二人のやり取りはやっと終わった。

藤沢は、綺麗なツラには無縁そうな男気に溢れている。水島さんのために懸命になる人間は嫌いじゃない。
そんなことを考えてながら藤沢の後ろ姿を見ていて、俺はあることに気が付いた。

ま、まさか、恋……!?
こいつ、水島さんのことがすすすす好きなのか!?
だから水島さんのためにこんなに一生懸命なのか……!?

水島さんに頭を殴られた時のような衝撃を感じた。それからそんな自分に愕然とする。

……なんで俺はこんなに驚いてんだ。そりゃ水島さんに惚れてしまうのは仕方ないだろうが、今までそんな奴を見たってこんなに動揺したことはない。
え、俺、水島さんを好きになっちゃったの……? ないないないないないありえない。水島さんは敬うべき人だし、硬派な俺は恋愛なんか無縁だ。
それに、どうせ好きになるなら、綺麗で強い女がいい。そう、目の前を歩くこいつみたいな。って、……え……?
ち、違う違う! 藤沢は男だからっ、間違いだからっ。俺、何かのチャームかけられてんのかもしんねえ!!

俺が動揺しまくっていると、急に爆竹の派手な音が聞こえてきた。
背後に気配を感じて振り返ると、スタンガンを押しつけられて、しこたま殴られる。

ヤバイ、藤沢……!!

落ちる寸前、驚いて俺を見る藤沢の背後に、お面を被った男が立っているのが見えた。

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