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俺が、今までの経緯と自分のそんな思いを話すと、わかった、とひとこと言って奈波さんは頷いた。

「本当はお前、あいつが元通りになって帰ってくるのを待っていたんだろう。そうでなけりゃ、寺嶋を更正させたかったんじゃないのか」
「……そんなに都合がいいようにならない事くらいわかってたんだけど」

違法な薬の製造に関わって、おまけに人をあやめようとしたどうしようもない馬鹿だ。
けど、少しぐらいは前みたいに戻って欲しいと思っていたことは確かだった。

「まあ、これからは俺がここで暮らしてやるから、寂しくねえぞ」
「はああ? 何言ってんの?」
「寺嶋の代わりに尋貴が狙われるかもしれないし、赴任早々発砲事件の指揮官に任命されて、ろくに部屋探しも出来なかったから丁度いい」
「丁度いいって、そりゃあんたの都合じゃん。勝手に決められちゃ困るんだけど」

そう文句を言えば、静かに近づいた腕が、俺を捕らえようと伸びてきた。逃れたけど、限りがある室内では静かな追いかけっこにも限度がある。
細身のくせに日々鍛えられているだろう頑丈な体に、俺の抵抗が通用するはずもなく……。

「うぅぅぅぅっ」
「色気ねぇなぁ」

とぼやきつつ、手は忙しなく動いていて、壁と長身の身体に挟まれた俺は、いいように弄ばれていた。
薄手のシャツの上から、探り当てられた乳首を指の腹でやわやわと揉まれて、引っきりなしに襲ってくる快感に耐えていた。

「ふぅぅーっ」
「嫌なら止めてやんぜ? 無理強いさせたら、あいつと同列になるからな。でも、こっちは嫌がってねえよなぁ」

足の間に滑り込ませていた膝頭で、ぐっと押し上げられた。ぴくんと揺れた体に、奈波さんが笑った気配がする。

「最低」
「触ってるのが俺だからいいんだろ?」

俺の目の前でひらひらと振られる手は、長く節も程よく張っていて、形の良い指だった。
この手で何度も撫でられていたんだ。
じっと見ていた指が、思わせ振りに下りて行き、再び張りつめた乳首を嬲り始める。
途端に甘い痺れが駆け巡って、引き結んでいたはずの唇から、聞かせたくはなかった声が零れてしまった。

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