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「俺から逃げられると思うなよ」
「んっ、うっあ…っ」

男が、下着の上から性器を握り込んでくる。
自由になった片方の手で、葉月はとっさに男の髪を掴んだ。

顔を上げた男にきつい目で睨まれる。その瞳に、焔のような熱が籠もっているように見えて、葉月は動きを止めた。
その僅かな間に、唇を塞がれる。

「っ……」

握られたままだったそこに力を込められ、開いてしまった咥内に舌が入ってくる。ぬるりと上顎を舐められた。
追い出そうと突き出した舌を捕らえられ、唾液ごと啜られる。

「ん、んっ」

くちゅり、と耳に嫌な音が聞こえる。
唇を塞がれたまま下着を下ろされ、直に揉みしだかれれば、身体が勝手に反応してしまう。

思い出したように、葉月は掴んでいた男の髪を引っ張れば、絡められていた舌を甘咬みされ、性器の先端に爪をたてられた。
他人からの愛撫には慣れていないのに、同時に色んな所を刺激されてしまっては、一溜まりもなかった。

「っあ、ん、ふ……んぅっ」

零れた先走りで、滑りの良くなったそこは、感じる快感も増長される。
息も奪われるような激しい口付けと、下肢に与えられる荒々しい刺激に翻弄されたまま、葉月は簡単に追い上げられた。
痛みと快感がない交ぜになり、生理的な涙が目許に滲んだ。

張り詰めた性器が、今にも弾けそうになった時、不意に口付けが解かれる。
男の視線を感じて、葉月は咄嗟に目を閉じた。覆い被さっている男の視線が、痛いくらいに突き刺さる。
そんな中で、男の手で強く性器を擦られた。

「あっ、いや、だ…んっぁ、あっ、ああ……っ!」

男の視線に曝されたまま、男の手の中で吐精させられた。
頭の中がゆれる。全力疾走をした後のように、激しく息をついた。
きつく目を閉じると、目尻から涙の粒が落ちる。
男の視線は、いつまでもまとわりついていた。

「ガキが……」

小馬鹿にしたような響き。
そのガキに手を出したのは誰だと、そんな反論もできずに、葉月は呼吸をするだけで精一杯だった。
全身に血液が回っているはずなのに、手足が冷えていく。

このまま、どうにかされてしまうのだろうか。
不安になりながら、力の入らなくなった身体をぐったりさせていると、不意に浮遊感に襲われる。
目の前には、男の横顔。それに、葉月は奇妙な既視感を覚えた。
抱きかかえられているんだと理解した時には、そのまま意識を失ってしまった。

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[mokuji]

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